源氏物語余情(4年目/1998.10.1〜1999.12.31)

ご意見は 伊藤鉄也(t.ito@nijl.ac.jp)まで

1年目(1995. 9.30〜1996. 9.30)
2年目(1996.10. 1〜1997. 9.30)
3年目(1997.10. 1〜1998. 9.30)
5年目(2000.1〜12)
6年目(2001.1〜12)

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◎(92)99.05.27 阿部秋生先生が24日にお亡くなりになりました。
 『源氏物語』の本文研究に関連して、本ホームページでも何回か紹介しました。『日本古典文学全集 源氏物語』(小学館)の校訂本文を担当され、多くの源氏研究者が、信頼できる源氏物語本文として享受しているところです。
 1986年刊行の『源氏物語の本文』(岩波書店)の内容は、本〈源氏物語電子資料館〉の《本文研究の歴史》に、要約したものを掲載しています。
 阿部先生のご冥福をお祈りいたします。


◎(91)99.04.23 半年ぶりの「壁新聞」の更新です。身辺の慌ただしさから、〈源氏物語電子資料館〉は各セクション共々、昨年末あたりから事実上の休眠状態でした。少し私の生活環境が落ち着き出したので、『源氏物語』を中心とする情報発信を再開します。お待ちくださっていた方々には、心よりお詫びいたします。

 まずは、大きなニュースから。

 

 〈日本古典文学本文データベース(実験版)の試験公開が始まる

 本年4月15日から2年間の予定で、〈日本古典文学本文データベース(実験版)〉の試験公開が、国文学研究資料館のホームページ(http://www.nijl.ac.jp/)で始まりました。以下に、その要点を摘記します。研究者向けのものですが、利用資格が該当する方はぜひ登録をして利用されてはいかがでしょうか。

 

(1) データベース名:日本古典文学本文データベース(実験版)

          岩波書店から刊行された旧版大系全100巻全作品の全文データベースです。

(2) 利用システム名:本文データベース検索システム(実験版)

          国文学研究資料館のホームページからアクセスできます。

(3) 実験期間   :1999年4月15日〜2001年3月末

          ただし、土・日・祝日・年末年始・毎月末は運用停止されます。

(4) 利用時間   :9:30〜21:00JST(日本時間)

          ただし、国文学研究資料館のホームページには時間制約はありません。

(5) 利用の資格  :国文学研究資料館情報処理システム利用要項による利用登録が必要。

(6) 利用の範囲  :国文学研究資料館情報処理システム利用要項に基づく個人研究の範囲。

(7) 利用料金   :実験版の試験公開のために無料。

(8) 著作権    :本文データベースには、様々な知的財産権が関わっています。
          ご利用にあたっては、十分にご注意下さい。

(9) お願い    :本文データベースは開発途中のものです。作品によってはまだまだ
          誤りが多いと思われます。誤りを見つけられた場合は、国文学研究
          資料館にご連絡をお願いします。

 

 少し補足説明をします。

 〈日本古典文学本文データベース(実験版)〉は、岩波書店刊行の旧版「日本古典文学大系」の全100巻中の約560作品の本文(テキスト)をデータベース化したものです。昭和30〜50年代に流布した、あの赤茶色の装丁の古典大系です。

 『源氏物語』は山岸徳平先生が校注なさいました。学生時代に、山岸先生の授業で、その注に関してご質問をしたことを覚えています。今では、この本文(宮内庁書陵部蔵・三条西実隆校訂・青表紙証本)は読まれなくなりましたが、大系本の頭注と補注は今でもすばらしいものだと思います。

 国文学研究資料館は、岩波書店との交渉に十年という歳月を費やされたと仄聞するものだけに、有意義な活用を目指して育てていくべきデータベースだと思います。家庭のパソコンからも、各作品の語彙を検索したり、全文を表示したり、ダウンロードすることなどができます。まさに慶事です。

 なお,ご利用に際しては利用の登録が必要です。ご利用に当たっての条件や制約もありますので、〈日本古典文学本文データベース(実験版)〉のホームページの「利用について」をよく読みましょう。利用の登録は、オンラインで申請ができます。
 「国文学研究資料館情報処理システム利用要項」と「国文学研究資料館データベース利用規程」によれば、利用資格は次のように規定されています。

 (1) 学校の教員及び調査研究機関の研究員並びに図書館職員
 (2) 大学の学生及び大学院の学生
 (3) 特に館長が適当と認めた者

 現状では、いろいろと制約があるようです。不明な点は国文学研究資料館のホームページ下段にあるポストを利用して問い合わせるとよいでしょう。



◎(90)98.11.07 『アサヒグラフ』(4001号、1998.11.13)で、「ホリ・ヒロシの世界 源氏物語のみやび」という特集が組まれています。

 人形師ホリ・ヒロシの作品は、明八日に宇治市にオープンする「源氏物語ミュージアム」で上映される映画「浮舟」(監督・篠田正浩)に登場する人形でもあります。文楽の人形が110センチ位なのに対して、ホリ氏の人形は170センチもの大きさがあるそうです。それを自分一人が黒衣として操作するというものです。人形の目には瞳を描かない「泥眼」という手法で、能面を彷彿とさせます。『アサヒグラフ』には、浮舟・その母・匂宮・薫・小君・横川僧都・斎王・中君・大君・六条御息所の人形の写真が掲載されています。また、各衣装のデザイン画や、コンピュータ・グラフィックで蘇る映画「浮舟」のスチル写真もあります。
 なお、映画「浮舟」は「源氏物語ミュージアム」で常設上映されています。
 1999年1月14〜17日には、東京・草月ホールで上映会が開催されるそうです。


◎(89)98.10.23 「紫式部文学賞」などを制定して『源氏物語』のイメージをピーアールしている京都府宇治市が、本年11月8日に「源氏物語ミュージアム」を開館します。常設展示室では、篠田正浩監督の映画『浮舟』を上映します。企画展示室では、その『浮舟』ができるまでを。その他、『源氏物語』に親しむコーナーや図書室などなど、興味深い博物館のようです。
 宇治上神社の近くにありますので、京阪宇治駅から歩いて10分ほどで行けます。

 この「源氏物語ミュージアム」オープンを記念して、国文学研究資料館主催の公開講演会が開催されます。以下に、その要目をあげておきます。

 ●源氏物語講演会 ー宇治橋の長きちぎりはー
  ・「源氏物語の本文とは何か」大阪大学 伊井春樹氏
  ・「宇治の中君 ー紫式部の人物造形」鶴見大学 岩佐美代子氏
  ○日時 1998.12.19(土)13:30〜17:00
  ○会場 宇治公民館(宇治市宇治里尻71-9)
  ・聴講無料、定員250名
 ◎聴講希望者は往復はがきに「源氏物語講演会聴講希望」と書いて、返信用はがきにも住所氏名を明記の上、下記宛にお申し込みください。11月30日必着。応募者多数の場合は抽選。

  〒611-0021 京都府宇治市宇治東内 45-26
  宇治市源氏物語ミュージアム
   電話 0774-28-0200

 ◎問い合わせ先
  国文学研究資料館(整理閲覧部参考室)
   電話 03-3785-7131(内線473)


◎(88)98.10.15/98.10.27補訂 「特集・源氏物語 1000年の時空を超えて」と題する特別番組がNHK国際放送でラジオ放送されます。放送日時は、下記の通りです。これは、11月14日(土)13時〜16時半に、宇治市文化センター大ホールで開催される「源氏セミナー」を収録しての放送です。

・1998年11月22日(日)22:15〜00:00 東南アジア・アジア大陸・北アメリカ東部・ヨーロッパ

・1998年11月23日(月)00:15〜02:00 南西アジア・北アメリカ西部・中米・南アメリカ・アフリカ中部

・1998年11月23日(月)01:15〜03:00 ハワイ大洋州・中東・アフリカ北部・アフリカ南部

 この「源氏セミナー」の後半では、「瀬戸内寂聴先生を囲んで」という対談があり、現在日本で『源氏物語』の研究をしている留学生の方々が出席されます。現在わたしが一緒に勉強している仲間の、朴貴仙さん(韓国)、謝立群さん(中国)、マーク・メリさん(米国)、アッタヤ・チョーティカプラカーイさん(タイ国)も出演なさいます。
 『源氏物語』に魅せられ、『源氏物語』を真摯に研究なさってる留学生の方々が、瀬戸内さんとどのような『源氏物語』談義をなさるのか、大いに楽しみです。日頃の熱心な勉強ぶりに啓発されることの多いみなさんだけに、キラキラと光ることばで、きっとすばらしい感動を与えてくださることと思います。
 朴さん、謝さん、メリさん、アッタヤーさん、いつもの新鮮な『源氏物語』の読み方を、瀬戸内さんを通して世界中の人々に伝えてください。

1年目(1995. 9.30〜1996. 9.30)
2年目(1996.10. 1〜1997. 9.30)
3年目(1997.10. 1〜1998. 9.30)
5年目(2000.1〜12)
6年目(2001.1〜12)

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