源氏物語余情(5年目/2000.1〜12)

ご意見は 伊藤鉄也(t.ito@nijl.ac.jp)まで

1年目(1995. 9.30〜1996. 9.30)
2年目(1996.10. 1〜1997. 9.30)
3年目(1997.10. 1〜1998. 9.30)
4年目(1998.10.1〜1999.12.31)
6年目(2001.1〜12)

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◎(95)00.03.22 『古典講演シリーズ[5] 伊勢と源氏 ―物語本文の受容―』(国文学研究資料館編、平成12年3月、臨川書店、\2,400)が刊行されました。木の芽や若葉が萌え出る季節にふさわしい、少し明るめの萌葱(萌黄・萌木)色の帯には、次のような紹介文が書かれています。

 「物語本文」の伝来と享受を辿る
 多くの人々に愛され、文学のみならず、芸術や生活の中にまで影響を与えつづけてきた『伊勢物語』と『源氏物語』。その本文成立の過程と享受の諸相を辿り、新しい読みを提示する。物語の本質に迫る五編を収録。

 本書には次の五本の講演が、親しみやすい語り口で載録されています。

    鉄心斎文庫の伊勢物語コレクション    山本登朗
    『伊勢物語』の本文と『伊勢物語』の享受 片桐洋一
    源氏物語の本文とは何か         伊井春樹
    宇治の中君 ―紫式部の人物造型―    岩佐美代子
    『源氏物語』受容環境の変革       伊藤鉄也

 以下に「後記」の一文を引き、その内容紹介にかえます。

 『伊勢と源氏 ―物語本文の受容―』を本書のタイトルとしたが、あるコレクションの性格、本文とそこから離れた独自の享受の復原、本文の伝来・校訂・研究の歴史及び問題点、本文の周到な読みと解析、本文データベースの流通、という五方向からの照射と交差によって、日本文学に屹立する伊勢物語と源氏物語の本文とその受容・交錯・流動の諸相が、物語という枠をも超えて鮮やかに浮かび上がってくるように思われる。

 編集を担当された田渕句美子・山田直子・大澤みどり氏には、そのご労苦が実り多いものであったことをことほぎたいと思います。続く企画を、大いに楽しみにしています。


◎(94)00.02.20 河添房江さんがホームページを公開されました。アドレスは、「http://homepage1.nifty.com/fusae/index.htm」です。
 色の使い分けに、まず目が行きました。爽やかな雰囲気を感じました。開設されたばかりなので、【経歴】【業績】【近況】など、ご自身に関する情報からのスタートです。今後は、『源氏物語』をはじめとする平安文学への情報や提言がなされていくことと思います。楽しみが増えました。ますますの充実を心待ちにしています。

 『源氏物語』に関するホームページも、最近は多彩になってきました。さまざまな視点からの情報発信がなされている折、そろそろ各ホームページとジョイントした企画を出してもいいのでは、と思い、以下に拙案〈源氏物語WWW目次〉を提示します。
 現在の『源氏物語』関連のホームページは、リンク集などによってお互いの接点を〈アドレス〉だけで保っているのが実状です。これでは、ネットワークが有効に生かされているとはいえません。有益な情報が、ネットの各所に散在しているのです。知られざる貴重な情報が、すでにたくさん埋もれています。また、個人的に情報を流しておられる方が多く、その周知は思うにまかせないのが現状です。検索サイトへの登録や、友人知人などのリンクに頼るしかないのです。
 私のホームページ〈源氏物語電子資料館〉では、いつでも渋谷栄一氏のホームページ「源氏物語の世界」に入れるよう、トップページにリンクボタンを設置しています。いわば、ポータルサイトです。この手法を拡大して、各人のホームページの内容を分類したサイトを設置すればどうでしょう。それがおのずと『源氏物語』に関する事項索引としての目次となり、それをみんなで共有することができるようになります。〈源氏物語WWW目次〉と言えば、その内容が理解しやすいでしょう。
 『源氏物語』に関する一大百科全書が、ネット上に展開するのです。いつでも検索・確認できるようになるのです。そして、情報交換によるデータの確認・更新が、迅速かつ正確になるはずです。重複した情報や、よく似た資料のチェックも容易になります。『源氏物語』の受容環境の整備のためにも、もう着手すべき時期だと判断します。

 まずは、この〈源氏物語電子資料館〉の〈リンク集〉を〈源氏物語電子手帳〉と改名します。そして、これから一ヶ月ほどは、試案づくりのキーステーションとします。この〈源氏物語電子資料館〉のトップページに、その〈源氏物語電子手帳〉に直接入れるボタンを設けました。
 〈源氏物語電子手帳〉が実用的なものになった時点で、これを国文学研究資料館のホームページの中に置かせてもらおうと思います。これは、情報の一元化ではなくて、散在する情報を閲覧するための窓口の一本化といえましょう。『源氏物語』に関する情報発信の基地を、私的なプロバイダーのサーバーマシンの中ではなくて、やはりしかるべき機関の中の一部に置いてもらうことは、安定した情報提供のために必要なことだと思います。出版社などが中途半端に参入する前に、利害関係の伴わない組織から、基本的な情報を流し続けることは重要なことです。オフィシャルなものを一つ共有することによって、各人のプライベートなホームページから発信する情報は、より一層個性豊かなものとなるはずです。

 現在は、全国各地に一戸建ての情報発信住宅が建設されだしたところです。それと同時進行で、発信されている情報の中身であるコンテンツを分類してその住所録を作れば、情報の流れの効率化を促進できるのでは、と考えます。とにかくプランニングを進めたいと思います。アイデアをお寄せください。一緒にスタートしませんか。叩き台としての〈源氏物語電子手帳〉に対するご意見をいただけれぱ幸いです。


◎(93)00.01.09 8ヶ月ぶりの「壁新聞」の更新です。日々の雑務に追われ、生活の余裕のなさを露呈するホームページとなってしまいました。心機一転、情報発信の継続を心がけたいと思います。もっとも、3日後にアメリカのカリフォルニア大学バークレー校へ行く準備をしながら、この「壁新聞」の記事をまとめています。また今年も、まばらな記事の掲載となりそうですが、よろしく、おつきあいください。

 今朝の朝日新聞日曜版で、新連載「名画日本史」が始まりました。第1回目は『源氏物語絵巻』です。今年の夏に発行される二千円札裏面に『源氏物語絵巻』の38鈴虫巻と『紫式部日記絵巻』に描かれた紫式部が図案として採択されたこともあり、タイムリーなスタートです。カラー写真のみならず、「主な登場人物」「見る」「訪ねる」「読む」「系図」などの情報が、記事を立体的に浮かび上がらせてくれます。内容も、これまでの『源氏物語』の紹介文の焼き直しではなく、構成も工夫されているので、好感がもてる文章となっています。

1年目(1995. 9.30〜1996. 9.30)
2年目(1996.10. 1〜1997. 9.30)
3年目(1997.10. 1〜1998. 9.30)
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6年目(2001.1〜12)

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