国文研蔵『源氏物語団扇画帖』服飾関係分類索引(畠山版)

『源氏物語団扇画帖』が国文学研究資料館に所蔵されています。これは、『源氏物語 千年のかがやき 立川移転記念 特別展示図録』(国文学研究資料館編、2008年10月、思文閣出版)で、そのすべてが高精細なグラビア印刷で公刊されました。そこでは、描かれている場面・図様・構図、さらには人物などを特定して解説・明示されています。

 さらにその巻末には「事物索引」も付され、描かれた内容にアブローチしやすい環境も提供されています。

 この源氏絵の索引は、みなさんが求めておられたものです。

 索引の実現にあたっては、多くの方々の協力をいただきました。そこには、「植物」「動物」「自然」「家屋」「屋外」「調度」「楽器」「文房具」「居所」「季節」「時間」「人物」「エキストラ」「画中画」が立項されています。

 これによって、どの巻の絵に何が描かれているのかが、容易に検索・確認できるのです。

 ところで、『源氏絵』等の物語絵に描かれた人物がどのような服を身に纏っているのかがわかると、平安時代の人物の実像や物語と絵画の理解が深まります。それを実現したいと、かねてより思っていました。

 古典文学における服飾に詳しい畠山大二郎氏(現:愛知文教大学・准教授)が、物語絵に描かれている衣服の分別や特定に取り組んでいます。

 畠山氏は、國學院大學のポスドク研究員(2012年当時)として、主に『源氏物語』を中心とした日本被服史及び服飾表現の研究をしていました。研究テーマは以下の通りです。

 中古文学の中の服飾表現や衣生活が研究テーマである。未詳や誤解の多い服飾表現を丁寧に理解していくことによって、当時の服飾の実像を少しなりとも明らかにし、「衣」に込められた人物の思いを解明したいと考える。(國學院大學・研究開発推進機構ホームページ・2012年4月18日更新分より)

 また、その当時、彼の研究業績としては次のものがありました。

 『源氏物語』における衣服表現を手掛かりにして、新しい読み方を提示し続けているのです。

「「柳の織物」を着る明石の君 ―「若菜下」巻の女楽を中心に―」『國學院大學大学院紀要文学研究科』第41輯、平成22年

「有職からみた『源氏物語』の扇 ―朧月夜の扇をめぐって―」『國學院大學大学院平安文学研究』第1号、平成21年

「『源氏物語』の「端袖」―「綻び」「ゆだち」を手がかりに」『野州国文学』第81号、平成20年

「「光源氏の「ひきつくろふ」直衣姿―「松風」巻を中心として―」『日本文學論究』第66冊、平成19年

 こうしたことを踏まえて、畠山氏の幅広い興味と豊富な知識の提供を受け、『源氏物語団扇画帖』に描かれた衣服を整理してもらいました。

 これは貴重な情報であり資料であり、多くの方々の参考となるものです。

 そこで、本ホームページで「『源氏物語団扇画帖』服飾関係分類索引」として掲載します。

 もとになる画像は、上に紹介した展示図録『源氏物語 千年のかがやき』を参照してください。人物は、そこに掲載されている線描画と一致するようになっています。

 また、国文学研究資料館のホームページでは、高精細画像として『源氏物語団扇画帖』の全帖が公開されています。「電子資料館」の中の「所蔵和古書・マイクロ/デジタル目録データベース」には「館蔵和古書画像一覧」という項目があります。その中の「200014736 源氏物語団扇画帖」がそれです。拡大してご覧になると、その画像の精細さに驚かれることでしょう。

 参考までに、以下の巻名にリンクを張っておきますので、『源氏物語団扇画帖』と「服飾関係分類索引」とを、ぜひとも見比べてください。おもしろい発見がたくさんあると思います。

 なお、『源氏物語団扇画帖』は54枚の団扇絵を折本仕立てにして1冊となっています。しかし、同じ巻に絵が2枚あったり、絵のない巻があったりするために、これだけで『源氏物語』の54巻を網羅する画帖ではないことを、あらかじめご承知ください。

 本ホームページは、さまざまな分野の方がご覧になっているようです。この分類索引に関して、よりよいものに育てていくための多方面からのご教示をいただければ幸いです。

※本索引は、本法人代表理事である伊藤鉄也のブログ[たつみのいほりより]の2012年6月26日・2012年6月30日・2012年7月 2日・2012年7月 7日・2012年7月 8日・2012年7月 9日、で公開した記事を整理し直したものです。

 

【注】

※「ひとえ」は、男性用(丈短)を「単」、女性用(丈長)を「単衣」と表記する。

※「五衣表着」の名称はオリジナルである。「五衣小袿」の呼称もあるが、近代から用いられている呼称であり、「小袿」の定義も時代によって異なるので、一番上に着ている袿の意味で「表着」の呼称を用いた。

※「縹匂」「朽葉匂」は、オリジナルの呼称である。これは、同じ色目が有職故実書の中には見られないもので、ブルーから白へのグラデーションを表すために「縹匂(はなだのにおい)」、茶色から白へのグラデーションを表すのに「朽葉匂(くちばのにおい)」という呼称を仮に用いた。

※烏帽子の紐を顎にかけて固定しているものと、そうでないものとがいる。不鮮明な箇所もあり、今回は掲載しなかったが、この書き分けについては考察が必要かもしれない。

※同じような赤でも、「紅」と「赤」とで使い分けた。身分が低いと思われる人物には、「赤」を用いた。他にも、身分の差で表記を変えたものがある。

※男性の「中着」は、小袖なのか、単なのか判別ができなかったために使用した。また、熨斗目模様がみられるものは、「熨斗目小袖」と判断した。しかし、通常熨斗目の模様は肩まで入ることはなく、若干の不審もある。

※上文に二色以上使用しているものを「二重織(ふたえおり)」として区別した。

※ライトブルー系統の色は、直衣の場合「縹色」とし、薄縹色(濃)、浅葱色(薄)と区別した。

「第一図 東屋巻(第五〇帖)」

1(匂宮)   夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色松文) 五衣(入子菱文縹匂) 単衣(黄色) 長袴

3(中将の君) 五衣表着姿

        表着(蘇芳色唐花唐草) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(黄色) 長袴

4(中の君)  五衣表着姿

        表着(花丸文、二陪織物か) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

5(若君)   袿姿

        袿(黄色) 単衣(紅菱文)

「第二図 帚木巻(1)(第二帖)」

1(光源氏)  夏の冠直衣姿 襟紐を解いている状態

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(左馬の頭) 五位文官の束帯姿 

        但し、石帯が見えない。表袴をはいているので「束帯と認定した。

        冠(垂纓繁文) 袍(緋色轡唐草、縫腋) 表袴(霰地)

3(藤式部の丞)地下武官の束帯姿 ただし、構成が有職故実に叶っていない

        冠(細纓に老懸) 袍(縹色無文、縫腋) 表袴(霰地)

4(頭中将)  夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

 

 「第三図 空蝉巻(1)(第三帖)」

1(光源氏)  夏の烏帽子直衣姿 手に空蝉の衣(白地花文)を持っている

        立烏帽子 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(小君)   水干姿

        垂髪 水干(赤地松文) 単 指貫(鳥襷文)

 

「第四図 夕顔巻(1)(第四帖)」

1(従者)   白張姿 傘を持つ

2(従者)   白張姿 半折(狩衣などの後身頃を折って着用すること)

        袴の股立から中に着ている服の文様が見える。熨斗か。

3(牛飼)   水干姿

        喝食(髪型) 水干(紺地無文) 当帯 単(朱色)

4(惟光)   水干姿

(狩衣とも判断できるが、袴が同生地であることや、第一〇図の従者を参考にすると水干と思われる。ただし、惟光には不相応か。同様のものが、メトロポリタン美術館蔵土佐光吉筆源氏物語図屏風や伝土佐光則筆源氏物語色紙貼付屏風明石巻などにもみられる)

        萎烏帽子 水干上下(朱色) 当帯 単衣(紺色) 太刀 浅沓

5(女の童)  単衣重姿 手に蝙蝠扇を持つ

        単衣(黄色地、文様は不詳) 長袴 蝙蝠扇(朱色八本骨黒紙)

6(女房)   袿袴姿

        袿(浅葱色) 単衣(紅色)

7(女房)   袿袴姿

        袿(紅色) 単衣(萌黄菱文)

8(女房)   袿袴姿

        袿(白色) 単衣(紅色)

 

「第五図 若紫巻(1)(第五帖)」 

1(惟光)   狩衣姿 太刀を手に持つ

        平礼烏帽子 狩衣(若草色無文) 単(朱色) 指貫(白地無文) 太刀

*なお、狩衣の下に着ている紺色のものは不明であり、朱色のものを仮に単衣とした。

2(光源氏)  狩衣姿

        立烏帽子 狩衣(紅地松枝文) 当帯 指貫(白地無文) 中着(墨色) 浅沓

3(女の童)  衵姿 髪の端を束ねている

        衵(白地松枝文) 単衣(紅地菱文)

4(尼君)   五衣表着姿 尼削ぎ

        表着(白に地文、上文は梅文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

5(若紫)   衵姿 髪の端を束ねる 物語本文では「山吹」

        衵(浅葱色地唐花唐草文) 単衣(白地菱文)

6(女房)   袿袴姿

        袿(黄色地花菱遠文) 単衣(萌黄菱文) 長袴

 

「第六図 蜻蛉巻(第五二帖)」

1(女房)  五衣表着姿

        表着(浅葱色地松枝文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(紺地菱文) 長袴

2(女一の宮) 五衣表着姿

        表着(白に地文、梅の上文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文)

3(薫)    夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

4(弁のおもと)五衣表着姿

        表着(紅地松枝文) 五衣(縹匂) 単衣(白地菱文)

 

 「第七図 少女巻(第二一帖)」

1(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地梅唐草文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(黄色菱文) 長袴

2(紫の上)  五衣表着姿

        表着(白に地文、唐花の上文) 五衣(紅匂菱文) 単衣(萌黄菱文) 長袴

3(女房)   五衣表着姿

        表着(白地松枝文) 五衣(入子菱文縹匂) 単衣(白地菱文) 長袴

4(女の童)  汗衫姿

(細長にも似ており判別し難いが、襟が盤領である点、本文に「汗衫」とある点から、細長と混同した形状の汗衫であると判断した)

        汗衫(朱色地紅葉流水文) 袿(若草色) 五衣(縹匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

  

「第八図 花宴巻(1)(第八帖)」

1(朧月夜)  五衣表着裳姿 檜扇をかざす

        裳(海賦の摺、髪を裳に着込める) 表着(白に地文、梅の上文) 

        五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴 檜扇(端紐は総角結び)

2(光源氏)  冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

 

「第九図 葵巻(第九帖)」

1(紫の上)  袿袴姿 髪を元結で束ねている

        袿(紅色松枝文) 単衣(萌黄菱文) 長袴(朱色)

2(女房)   袿袴姿

        袿(色地梅唐草文) 単衣(白色) 長袴

3(女房)   袿袴姿

        袿(白地唐花唐草文) 単衣(薄桃色菱文) 長袴

4(女房)   袿袴姿

        袿(白地草葉文) 単衣(紅色)

5(光源氏)  夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

 

「第一〇図 賢木巻(第一〇帖)」

1(光源氏)  夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(六条の御息所)白の五衣表着姿

        表着(白無文) 五衣(白) 単衣(薄桃色) 長袴

3(牛飼)   水干姿 髪は喝食

        水干(紺地無文) 当帯 単(朱色)

4(従者)   水干姿

        萎烏帽子 水干上下(朱色、菊綴のようなものがある) 

        中着(袖からは若草色、肩からは紺色が見える) 太刀

5(従者)   白張姿

        烏帽子 白張

6(従者)   白張姿

        烏帽子 白張 中着(肩から若草色が見える)

 「第一一図 花散里巻(第一一帖)」

1(麗景殿の女御)袿袴姿

        袿(生成色地梅文散らし) 単衣(白地菱文) 長袴

2(女房か)  袿袴姿

        袿(薄黄色地唐花唐草文) 単衣(紅地菱文)

3(花散里か) 袿袴姿

        袿(紅地唐花唐草文) 単衣(浅葱色菱文)

4(光源氏)  夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

 

「第一二図 須磨巻(第一二帖)」

1(従者)   狩衣姿

        平礼烏帽子 狩衣(薄黄色地唐花唐草文) 指貫(薄縹無文) 中着(紅地菱文)

2(従者)   狩衣姿

        烏帽子 狩衣(紅地梅唐草文) 指貫(縹無文) 中着(紺色)

3(従者)   狩衣姿

        烏帽子 狩衣(浅葱色地松枝文) 指貫(薄葡萄色無文) 中着(紅色地文不明)

4(光源氏)  冬の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

 

「第一三図 明石巻(第一三帖)」

1(惟光)   狩衣姿

        平礼烏帽子 狩衣(朱色無文) 指貫(八藤丸文) 中着(墨色) 浅沓

2(童)    水干姿 髪は喝食で、太刀を持つ

        水干(紅地松枝文) 指貫(薄縹八藤丸文) 中着(墨色) 浅沓

3(光源氏)  夏の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

4(従者)   白張姿 袴は上括

        烏帽子 白張 中着(紺熨斗目小袖)

 

「第一四図 蛍巻(第二五帖)」

1(光源氏)  夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(玉鬘)   袿袴姿

        袿(白地唐花唐草文) 単衣(白地菱文) 長袴

3(女房)   袿袴姿

        袿(浅葱色地梅唐草文) 単衣(紅地菱文)

4(女房)   袿袴姿

        袿(朱色地撫子唐草文)(桜唐草にも見えるが、季節柄、撫子唐草とした) 単衣(紺地菱文)

5(女房)   袿袴姿

        袿(白地松枝文) 単衣(薄紅色菱文) 長袴

 

「第一五図 蓬生巻(第一五帖)」

1(従者)   水干姿 妻折傘をさす

        平礼烏帽子 水干(緑色無文) 単(朱色) 中着(紺地熨斗目小袖) 小袴(白色、上括)

2(光源氏)  夏の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文) 浅沓

3(惟光)   狩衣姿

        平礼烏帽子 狩衣(朱色地唐花唐草文) 指貫(白無文) 中着(墨色) 浅沓

 

「第一六図 関屋巻(第一六帖)」

1(空蝉一行・女)旅姿 垂髪

       小袖(白地赤縞) 帯(赤色)

2(空蝉一行・女)旅姿 笠に垂髪

        小袖(黄色地、青海波に鳥を描くか) 中着(赤色) 帯(赤色)

3(空蝉一行・男)布衣姿

        平礼烏帽子 布衣(薄茶色) 中着(緑色)

4(空蝉一行・男)白張姿

        烏帽子 白張 中着(緑色)

5(空蝉一行・男)布衣姿

        平礼烏帽子 布衣(浅葱色無文) 中着(緑色)

6(空蝉一行・男)白張姿

        平礼烏帽子 白張 中着(紺色)

7(童)    水干姿 髪は喝食

        水干(紅地松枝文) 当帯 指貫(白地無文) 中着(紺色) 浅沓

8(従者)   水干姿

        萎烏帽子 水干上下(朱色)

中着(袖からは若草色、肩からは葡萄色?、襟からは紺色がみえる) 浅沓

9(従者)   白張姿

        烏帽子 白張 中着(紺色)

10(牛飼)  水干姿 髪は喝食

        水干(若草色) 当帯 小袴(白地無文、上括) 単(朱色)

中着(紺地熨斗目小袖)

11(従者)  狩衣姿

        烏帽子 狩衣(浅葱色地梅唐草文) 単(紅地菱文)

12(従者)  狩衣姿

        烏帽子 狩衣(薄桃色松枝文) 単(紅地、文は不明)

13(従者)  白張姿

        烏帽子 白張 中着(緑地熨斗目小袖)

14(従者)  布衣姿 太刀を持つ

        平礼烏帽子 布衣(浅葱色無文) 指貫(白無文)

中着(袖からは赤、肩からは緑が見える)

15(従者)  白張姿

        烏帽子 白張 中着(紺、緑、白の熨斗目小袖)

16(従者)  白張姿 傘を持つ

        烏帽子 白張 中着(紺、緑、白の熨斗目小袖)

 

「第一七図 絵合巻(第一七帖)」

1(藤壺)   五衣表着姿

        表着(生成色地花丸文) 五衣(紅匂) 単衣(黄色菱文) 長袴

2(女御)   五衣表着姿

        表着(浅葱色梅唐草文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

3(女御)   五衣表着姿

        表着(生成色地、文は不明) 五衣(紅匂) 単衣(紺地菱文) 長袴

4(女房)   五衣表着裳姿

        裳(青海波) 表着(鶯色地花菱遠文) 五衣(縹匂) 単衣(薄葡萄色)

長袴

5(女房)   五衣表着姿

        表着(白地か) 五衣(朽葉匂) 単衣(黄色) 長袴

6(女房)   五衣表着姿

        表着(紅地) 五衣(縹匂) 単衣(縹色) 長袴

7(女房)   五衣表着姿

        表着(白地か) 五衣(紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

8(女房)   五衣表着姿

        表着(蘇芳か) 五衣(縹匂) 単衣(白か) 長袴

9(女房)   袿袴姿

        袿(紅地) 単衣(黄色か) 長袴

10(女房)  五衣表着姿

        表着(白地) 五衣(紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

11(女房)  五衣表着姿

        表着(黄色地) 五衣(朽葉匂) 単衣(縹色)

 

「第一八図 末摘花巻(第六帖)」

1(頭の中将) 冬の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文) 浅沓

2(光源氏)  狩衣姿

        立烏帽子 狩衣(紅地松枝文) 指貫(薄縹無文) 単(墨色) 浅沓

3(末摘花)  五衣表着姿

        表着(黄色地) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄繁菱文) 長袴

 

「第一九図 薄雲巻(第一九帖)」

1(紫の上)  五衣表着姿

        表着(生成色地唐花唐草文) 五衣(紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

2(明石の姫君)衵姿

        衵(紅地松枝文) 単衣(白地菱文)

3(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地梅唐草文) 五衣(朽葉匂) 単衣(薄桃色菱文)

4(光源氏)  冬の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

 

「第二〇図 朝顔巻(第二〇帖)」

1(女の童)  衵姿

        衵(浅葱色地唐花唐草文) 単衣(薄桃色菱文)

2(女の童)  衵姿

        衵(紅地花菱唐草文) 単衣(萌黄菱文)

3(女の童)  衵姿

        衵(薄桃色地雲立涌文) 単衣(朽葉色菱文)

4(女の童)  衵姿

        衵(黄色地松枝文) 単衣(縹地菱文)

5(紫の上)  五衣表着姿

        表着(白地唐花唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

6(光源氏)  袿姿

        立烏帽子 袿(薄桃色地梅唐草文) 単衣(縹地菱文)

 

「第二一図 行幸巻(第二九帖)」

1(女房)   五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(朽葉匂) 単衣(縹色) 長袴

2(女房)   五衣表着姿か

        表着(朱色桜唐草文)

3(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地唐花唐草文) 五衣(縹匂) 単衣(薄茶色)

4(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地松枝文) 五衣(朽葉匂) 単衣(黄色菱文) 長袴

5(玉鬘)   五衣表着姿

        表着(白地唐花唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

 

「第二二図 玉鬘巻(第二二帖)」

1(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地松枝文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(縹色)

2(女房)   五衣表着姿 櫃から衣(白地梅唐草文)を取り出している

        表着(白地唐花唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

3(女房)   五衣表着姿か

        表着(朱色唐草文)

4(女房)   五衣表着裳姿 櫃から衣(白地青海波文)を取り出している

        表着(若草色無文) 五衣(縹匂) 単衣(薄蘇芳地菱文) 裳 長袴

5(女房)   五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(紅地菱文)

6(紫の上)  五衣表着姿

        表着(白地菊唐草文?) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄幸菱文) 長袴

7(光源氏)  冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

* 女房5の前にある衣 袿か(浅葱色地松枝文)

* 紫の上の前にある衣 袿(若草色地唐花丸文) 単衣(萌黄菱文)

* 光源氏の前にある衣 袿(生成色時か文)二枚を重ねているように見える。また、紅色は裏地か

 

「第二三図 早蕨巻(第四八帖)」

1(中の君)  五衣表着姿

        表着(白地菊唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

2(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地松枝文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(生成色幸菱文) 長袴

 

「第二四図 御法巻(第四〇帖)

1(女房)   五衣表着姿か

        表着(紅地花菱唐草文) 五衣(朽葉匂か) 単衣(縹色)

2(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地松枝文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(生成色幸菱文?) 長袴

3(女房)   五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(縹匂) 単衣(紅地菱文) 長袴

4(匂宮)   水干姿 髪は喝食

        水干(紅地松枝文) 指貫(鳥襷文)

5(紫の上)  五衣表着姿に衾をかける

        衾(白地唐花唐草文) 表着(白地梅唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄幸菱文) 長袴

 

「第二五図 夕顔巻(2)(第四帖)

1(惟光)   狩衣姿 紙燭を持つ

        平礼烏帽子 狩衣(紅地) 当帯 指貫(薄縹八藤丸文) 中着(墨色)

2(光源氏)  夏の烏帽子直衣姿 蝙蝠扇に筆で文字を書いている

        立烏帽子 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文) 蝙蝠扇(朱骨金紙)

 

「第二六図 野分巻(第二八帖)

1(女の童)  衵姿

        衵(朱色地浮線綾丸文、地文は不明) 単衣(白地菱文)

2(女の童)  衵姿

        衵(白地菊唐草文) 単衣(縹色菱文)

3(女の童)  衵姿

        衵(白地唐花唐草文) 単衣(香色菱文)

4(女房)   五衣表着姿

        表着(黄色地花菱遠文) 五衣(朽葉匂) 単衣(縹色菱文)

5(女房)   五衣表着姿

        表着(白地松枝文) 五衣(縹匂) 単衣(紅地幸菱文) 長袴

 

「第二七図 匂宮巻(第四二帖)」

1(従者)   白張姿 傘を持つ

        烏帽子 白張

2(従者)   狩衣姿

        平礼烏帽子 狩衣(紅地唐草文) 中着(墨色)

3(従者)   狩衣姿

        烏帽子 狩衣(黄色無文) 中着(単か。紅地入子菱文)

4(従者)   水干姿

        萎烏帽子 水干上下(朱色) 中着(袖からは緑色、肩からは蘇芳地の熨斗目模様が見える)

5(従者)   狩衣姿

        烏帽子 狩衣(浅葱色梅唐草文) 指貫(白地八藤丸文) 単(紅地松枝文) 浅沓

6(従者)   白張姿

        烏帽子 白張 中着(熨斗目小袖)

7(従者)   狩衣姿

        平礼烏帽子 狩衣(薄香色松枝文) 指貫(紺色地、文は何かの丸文) 中着(紅地、地文は不明)

8(牛飼)   水干姿 髪は喝食

        水干(紅地松枝文) 中着(墨色)

9(従者)   狩衣姿

        烏帽子 狩衣(薄萌黄梅文) 指貫(八藤丸文か) 単(紅地、地文は不明)

 展示図録として作成した『源氏物語 千年のかがやき 立川移転記念 特別展示図録』(国文学研究資料館編、2008年10月、思文閣出版)では、2葉の図版が入れ替わっています。実際の折本の順番では、図録の第27図「匂宮巻」(五〇頁)の位置には第29図「篝火巻」(五二頁)が貼られています。それに伴い、図録の第29図「篝火巻」(五二頁)の位置には、実際には第27図「匂宮」(五〇頁)が貼られています。つまり図録の「匂宮」と「篝火」は入れ替えるべきです。しかし、大きく影響しないことを勘案して、今は刊行された図録の順番で以下の索引も掲載します。

 国文学研究資料館のホームページから公開されている『源氏物語団扇画帖』の画像では、この2葉は正しい順番で並んでいます。

 

「第二八図  手習巻(第五三帖)

1(少将の尼) 五衣表着姿 髪は尼削ぎ

        表着(白地唐花唐草文) 五衣(入子菱文縹匂) 単衣(萌黄幸菱文) 長袴

2(女房)   袿袴姿

        袿(白地松枝文) 単衣(紅地菱文)

3(浮舟)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地梅唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(縹地菱文)

4(尼)    五衣表着姿 髪は尼削ぎ

        表着(黄色地菊文) 五衣(朽葉匂) 単衣(紅地菱文) 長袴

 

「第二九図 篝火巻(第二七帖)」

1(右近の大夫)布衣姿

        平礼烏帽子 布衣(緑色無文) 当帯 小袴(白地無文) 中着(袖からは赤色が、肩と股立ちからは茶色が見える)

2(光源氏)  袿姿

        立烏帽子 袿(二重織朱色地唐花唐草文) 単衣(白地幸菱文)

3(玉鬘)   袿袴姿

        袿(白地梅唐草文) 単衣(萌黄幸菱文) 長袴

 

「第三〇図 藤袴巻(第三〇帖)

1(玉鬘)   五衣表着姿

        表着(白地菊唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

2(女房)   袿袴姿か

        袿(朱色地花菱唐草文) 単衣(萌黄)

3(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地唐花唐草文) 五衣(朽葉匂) 単衣(縹地菱文) 長袴

4(女房)   五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(縹匂) 単衣(香色地幸菱文) 長袴

5(女房)   五衣表着姿

        表着(白地松枝文) 五衣(朽葉匂) 単衣(縹地菱文) 長袴

「第三一図 空蝉巻(2)(第三帖)」

1(光源氏)  夏の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(空蝉)   単衣重姿

        単衣(白地無文。輪郭の二重線は、二枚重ねのさまを表す) 長袴

3(小君)   水干姿 髪は喝食

        水干(紅地松枝文) 当帯 指貫(白地無文) 中着(墨色)

4(軒端の荻) 袿袴姿

        袿(白地梅唐草文) 単衣(白地菱文) 長袴

 

「第三二図 梅枝巻(第三二帖)」

1(童)    水干姿 髪は喝食

        水干(朱色地唐花唐草文) 指貫(白地無文) 単(墨色) 浅沓

2(蛍宮)   冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

3(光源氏)  冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

「第三三図 夢浮橋巻(第五四帖)」

1(小君)   水干姿 髪は喝食

        水干(紅地松枝文) 指貫(縹地無文) 中着(墨色)

2(浮舟)   袿袴姿 髪は尼削ぎ

        袿(白地梅唐草文) 単衣(紅地菱文)

3(小野の妹尼)単衣重ね? 髪は尼削ぎ

        単衣?(白地唐花唐草文)同じ衣を二枚重ねて着ていると思われる

「第三四図 初音巻(第二三帖)」

1(光源氏)  冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(明石の君) 五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(白重入子菱文) 単衣(萌黄菱文) 長袴

3(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地松枝文) 五衣(縹匂) 単衣(紅地菱文)

4(女房)   五衣表着姿

        表着(黄色無文) 五衣(朽葉匂) 単衣(薄縹菱文)

5(女房)   五衣表着姿

        表着(白地唐花唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(薄蘇芳幸菱文) 長袴

「第三五図 若菜上巻(第三四帖)」

1(女三の宮) 五衣表着姿か 物語本文では細長を着用

        表着(生成色、地文不明) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

2(柏木)   冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文) 浅沓

3(男君)   冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(茶色地鳥襷文)

        浅沓

4(男君)   冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(浅葱色八藤丸文)

        浅沓

5(男君)   冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(薄縹八藤丸文)

        浅沓

「第三六図 幻巻(第四一帖)」

1(女房)   五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

2(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色松枝文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(縹地菱文) 長袴

3(女房)   五衣表着姿

        表着(若草色地唐花唐草文) 五衣(入子菱文縹匂) 単衣(紅地菱文)

4(女房)   五衣表着姿か

        表着(紅地松枝文)

5(光源氏)  冬の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

「第三七図 横笛巻(第37帖)」

1(女三の宮) 五衣表着姿

        表着(薄蘇芳地松枝文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(海松色菱文) 長袴

2(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地梅唐草文) 五衣(入子菱文縹匂) 単衣(蘇芳菱文) 長袴

3(女房)   五衣表着姿

        表着(白地松枝文) 五衣(緑色と浅葱色?が見える)

4(女房)   五衣表着姿か

        表着(紅地唐草文)

5(女房)   袿袴姿か

        袿(苔色地桜唐草文) 単衣か(紅地菱文)

6(女房)   五衣表着姿

        表着(白地菊唐草文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(紺地菱文) 長袴

7(光源氏)  束帯姿

        冠(垂纓繁文) 袍(黒轡唐草、縫腋) 単(紅) 表袴(霰地) 大口(赤) 襪

「第三八図 鈴虫巻(第三八帖)」

1(女房)   袿袴姿

        袿(生成地菊文) 単衣(縹地菱文)

2(女房)   袿袴姿

        袿(紅地花菱唐草文) 単衣(萌黄菱文)

3(女三の宮) 袿袴姿

        袿(白地梅唐草文) 単衣(白地菱文) 長袴

4(光源氏)  夏の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文) 

        蝙蝠扇(朱骨朱色金泥紙)

「第三九図 夕霧巻(第三九帖)」

1(落葉の宮) 五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄幸菱文) 長袴

2(夕霧)   夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

「第四〇図 花宴巻(2)(第八帖)」

1(光源氏)  直衣布袴姿(物語本文の「おほきみ姿」と同一とされている)

        冬の直衣(白地浮線綾文) 下襲(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(朧月夜)  五衣表着姿

        表着(若草色) 五衣(縹匂) 単衣(紅地菱文)

3(女房)   五衣表着姿

        表着(紅地松枝文) 五衣(朽葉匂) 単衣(浅葱色菱文)

4(女房)   五衣表着姿

        表着(薄桃色地梅唐草文) 五衣(紅匂) 単衣(萌黄菱文)

「第四一図 紅葉賀巻(第七帖)」

1(紫の上)  衵姿

        衵(浅葱色地松枝文) 単衣(白地菱文) 長袴

2(犬君)   衵姿 髪を後ろで束ねている

        衵(紅地梅唐草文) 単衣(萌黄菱文)

3(女房)   五衣表着姿

        表着(生成色) 五衣(入子菱紅匂) 単衣(浅葱色菱文) 長袴

4(女房)   五衣表着姿か

        表着(白地松枝文)

5(女房)   五衣表着姿か

        表着(黄色地唐花文)

6(光源氏)  束帯姿

        冠(垂纓繁文) 袍(黒菊唐草、縫腋) 下襲(躑躅襲=表白裏黒、浮線綾文) 

        単(紅) 表袴(霰地) 大口(赤) 襪 笏 餝太刀

「第四二図 帚木巻(2)(第二帖)」

1(空?)   袿袴姿

        袿(白地梅唐草文) 単衣(白地菱文) 長袴

2(女房)   袿袴姿

        袿(黄色地唐花唐草文) 単衣(紅地菱文) 長袴(朱色)

3(光源氏)  夏の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

4(従者)   狩衣姿

        烏帽子 狩衣(若草色無文) 単(紅地、地文不明) 指貫(白地無文)

5(従者)   狩衣姿

        烏帽子 狩衣(紅地松枝文) 単(墨色) 指貫(浅葱色無文)

「第四三図 紅梅巻(第四三帖)」

1(匂宮)   冬の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(若君)   水干姿 髪は喝食

        水干(紅地松枝文) 当帯 指貫(縹色無文) 単(墨色)

3(従者)   狩衣姿

        烏帽子 狩衣(紅地唐花唐草文) 指貫(浅葱色無文) 単(墨色)

4(従者)   狩衣姿

        烏帽子 狩衣(白地梅唐草文) 単(紅地唐草文)

5(従者)   狩衣姿

        平礼烏帽子 狩衣(白地松枝文) 指貫(縹色無文) 単(紅地唐草文)

「第四四図 野分巻(2)(第二八帖)」

1(女房)   袿袴姿

        袿(薄蘇芳地松枝文) 単衣(浅葱色菱文) 長袴

2(女房)   袿袴姿か

        袿(紅地、地文は不明)

3(女房)   袿袴姿か

        袿(朱色)

4(玉鬘)   袿袴姿

        袿(白地唐花唐草文) 単衣(白地菱文) 長袴

5(光源氏)   夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

「第四五図 橋姫巻(第四五帖)」

1(薫)    狩衣姿

        立烏帽子 狩衣(朱色地花菱唐草文) 単(紺) 指貫(薄紅色地?鳥襷文) 浅沓

2(女房)   袿姿

        袿(薄蘇芳地唐花唐草文) 単衣(紅地菱文)

3(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色松枝文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(朱色地菱文) 長袴

4(大君/中君)五衣表着姿

        表着(黄色地唐花文) 五衣(入子菱文縹匂) 単衣(萌黄菱文)

5(大君/中君)五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(黄色菱文) 長袴

「第四六図 藤裏葉巻(第三三帖)」

1(太政大臣) 衣冠姿

        冠(垂纓繁文) 袍(黒轡唐草、縫腋) 単(紅) 指貫(薄縹八藤丸文) 

        檜扇を手に持つ

2(雲居の雁) 五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(白地菱文) 長袴

3(夕霧)   夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(薄蘇芳鳥襷文)

 「第四七図 松風巻(第一八帖)」

1(光源氏)  夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(薄蘇芳鳥襷文)

2(明石の姫君)袿姿?

        袿(紅地松枝文) 単衣(白地菱文)

3(乳母)   五衣表着姿

        表着(若草色地花菱遠文) 五衣(朽葉匂) 単衣(白地菱文) 長袴

4(女房)   五衣表着姿

        表着(生成色地唐花唐草文) 五衣(菱文紅匂) 単衣(薄蘇芳菱文)

5(明石の君) 五衣表着姿

        表着(白地梅唐草文) 五衣(菱文白重) 単衣(萌黄地菱文) 長袴

「第四八図 椎本巻(第四六帖)」

1(女房)   五衣表着姿

        表着(薄蘇芳色松枝文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(紅地菱文)

2(女房)   五衣表着姿

        表着(朱色地花菱唐草文) 五衣(縹匂) 単衣(白地幸菱文) 長袴

3(女房)   五衣表着姿

        表着(鶯色地菊唐草文) 五衣(入子菱紅匂) 単衣(紺地)

4(大君/中君)五衣表着姿

        表着(浅葱色地唐花唐草文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(黄色地菱文)

5(大君/中君)五衣表着姿

        表着(生成色地梅唐草文) 五衣(入子菱紅匂) 単衣(萌黄地幸菱文) 長袴

「第四九図 竹河巻(第四四帖)」

1(薫)    夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

2(蔵人の少将)夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

「第五〇図 若菜下巻(第三五帖)」

1(柏木)   袿姿

        立烏帽子 袿(二重織朱色地唐花唐草文) 単衣(白地菱文)

2(女房)   五衣表着姿

        表着(生成色地梅唐草文) 五衣(入子菱紅匂) 単衣(紅地菱文)

3(女房)   五衣表着姿か。(五衣が見えない)

        表着(薄蘇芳色松枝文) 単衣(紅地菱文)

4(女房)   五衣表着姿

        表着(生成色地菊唐草文) 五衣(縹匂) 単衣(香色地幸菱文) 長袴

5(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色地梅唐草文) 五衣(朽葉匂) 単衣(紺地) 長袴

「第五一図 澪標巻(第一四帖)」

1(明石の君) 五衣表着姿

        表着(白地松枝文) 五衣(白重入子菱文) 単衣(萌黄幸菱文) 長袴

2(柏木)   袿姿

        立烏帽子 袿(朱色地唐花唐草文) 単衣(白地菱文)

「第五二図 常夏巻(第二六帖)」

1(内大臣)  夏の冠直衣姿

        冠(垂纓繁文) 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文) 

        蝙蝠扇(朱骨金紙に雪竹)

2(少将)   狩衣姿

        平礼烏帽子 狩衣(朱色地唐花唐草文) 当帯 指貫(縹色無文) 単(墨色)

3(女房)   袿袴姿か

        表着(朱色地唐草文)

4(女房)   袿袴姿か

        表着(浅葱色地松枝文) 単衣(縹色地菱文)

5(女房)   袿袴姿

        表着(白色梅唐草文) 単衣(香色菱文) 長袴

6(雲居の雁) 単衣重姿

        単衣(生成色地唐花唐草文、下に白地無文の単衣を重ねる) 

        長袴 蝙蝠扇(朱骨金紙に日の丸)

「第五三図 宿木巻(第四九帖)」

1(中の君)  五衣表着姿

        表着(生成色地唐花唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴

2(匂宮)   冬の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

3(女房)   五衣表着姿か

        表着(黄色地花菱遠文)

4(女房)   五衣表着姿

        表着(朱色地菊唐草文) 五衣(菱文縹匂) 単衣(紅地菱文)

5(女房)   五衣表着姿

        表着(浅葱色梅唐草文) 五衣(入子菱文朽葉匂) 単衣(生成色菱文) 長袴

「第五四図 若紫巻(2)(第五帖)」

1(庭番)   直垂袴姿

        丁髷 直垂(浅葱色無地) 

        袴(白無地、腰板が台形になるのは一六世紀ごろからとされている)

2(北山の僧都)法衣姿

        剃髪 袍(墨染、僧綱襟) 袈裟(白無地、五條袈裟か)

3(光源氏)  冬の烏帽子直衣姿

        立烏帽子 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)

 

 ここでは、とりあえず索引として使ってもらえる情報を提示しました。

 文字列の羅列となっています。

 見栄えの悪いものであることは承知で、資料として活用できる用語集を目指して整理したものです。形を整えて有効に利用していただければ幸いです。

 『源氏物語団扇画帖』の分類索引に関しては、いろいろとご教示をいただきました。

 この場を借りて、お礼申し上げます。

 国文研蔵『源氏物語団扇画帖』は、『源氏物語』の全巻を絵画化したものではありません。当初は、2セットあったと思われます。つまり、108枚あった源氏絵の内の54枚が適宜取り集められて、それらが一冊の折本に仕立てられたものと推測されます。

 その意味では、まだこの残りの54枚が出てくる可能性があります。その日がくるのを、気長に、楽しみにして待つことにします。

 なお今後は、『源氏物語』の全54巻を対象にした源氏絵の「服飾関係分類索引」を、畠山大二郎氏にお願いしたいと思っています。

 用意が調い次第に、またこのような形で掲載させていただきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です