研究の目的

 本研究では、〈青表紙本〉〈河内本〉〈別本〉とされている本文分類を再検討するために、それぞれの位相の定位を目指す。使用する本文は、〈大島本・陽明本・保坂本・国冬本・東大本・尾州本〉の6種類である。
 申請初年度は〈大島・陽明・保坂・尾州〉の各54帖(一部に欠巻あり)を対象とし、2年目に〈東大・国冬〉の各54帖を扱う。基礎データを整備した後、各諸本を総当たりで対校するに当たっては、異同の質に応じた重みを付け、その集積データから、各写本間の位相を下図(桐壷の場合)のように距離としてグラフ化する。

 これは、加重相加平均と言われる単純な統計処理ではある。しかし、異同の違いに可能な限り解釈を含めた重みを付けることによって、言葉の質的な違いを加味した位相を明らかにしていくことが可能である。『源氏物語』本文の実態の再確認である。この結果をもとにして、特徴のある異同を検討し、異本・異文の世界の様態を探究していくことになる。


表紙

概要

背景

目的

特色

計画

英文