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序文b二年目の経過b

 これは、文部省科学研究費補助金の平成十年度の研究成果報告書である。

 本報告書は、重点領域研究「人文科学とコンピュータ」において「源氏物語古写本における異本間の位相に関する研究」(研究課題番号b09204240/10111236)として採択された課題のうち、二年計画の二年目分となるものである。

 申請時に提出した書類の大凡は、本ホームページの表紙の項目としてあげた、「概要」「目的」「特色」「計画」で確認できるようになっている。
 ここでは、研究報告として


  ・序文 b二年目の経過b
  ・凡例と作業手順 b覚え書きb
  ・[研究論文]源氏物語本文の位相と定位に関する考察
         ー「澪標」における諸本分別私案としての五分類ー
  ・[研究拾遺]源氏物語諸本の相関関係

の5項目にまとめている。

 データを処理するためのコンピュータ用のデータベースシートは、最終的には私に作った第五版(下図参照)を用いた。作業進行上に生じるさまざまな問題点に対処していく中で、第五版では三段階の階級値を充てて処理をしている。

 まず〈初年度用〉をあげ、次に今年度においてそれをさらに改良した第五版をあげる。本研究におけるデータ処理の基本的な部分であり、データの対処の仕方の変遷をまとめておくためにも、あえて昨年度の報告書の一部分も引いている。

〈初年度用〉

第一版

 このシートをもとにして、いくつかの巻を処理することにより、より使い勝手のよいものに改良していくことにした。最初の実作業用のシートは、次のものであった。

第二版

 

 このシートを使用しているうちに、いろいろな問題点がでてきた。その詳細は後掲の凡例と手順書、および研究論文に譲ることにする。
 大幅な改良を施したものが、以下のものである。

 

第三版

 

 このデータシートは、実作業を通して作成・改良したものだけに、完成度の高いものとなっていると思う。ただし、研究論文に記したように、[0]〜[10]という細かな重み付けの意味が曖昧であり、その問題点が処理結果を考察していく中で明らかになってきた。そこで、比較対照となるそれぞれの語彙が、一致するか一致しないか、という基準で見ていくことに変更することとなった。そして、さらに改良したものが下図のものである。これが、現在の完成スタイルである。チェック項目を半分に減らすことにより、より有効な異本の位相を知る手がかりが掴めることとなったのである。

 

第四版

 一通りの作業を終えてデータをとりまとめる段階で、さらに重み付けの基準をシンプルにしても、大勢に影響しないことがわかった。チェック項目が減れば、それだけ作業効率が上がるのは必定である。

 初年度分の作業を通して、とにかく予想を遙かに越える、膨大な時間が必要であった。次年度に本研究を継続するためには、新たな基準による対応に対処できるよう、現在データの点検と改善に着手しているところである。

〈二年目用〉

第五版

 昨年度の反省から、重み付けの階級値を[0][5][10]の三段階とした。また、効率よくデータを取り込んで処理をし、迅速にデータ書き出して次のステップへ進みやすくするために、たくさんのボタンを設定した。これによって、データの流れが円滑になった。

表紙
序文
凡例
論考
拾遺