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本文異同の重み付け処理のための凡例

 

 

◎作業用データ作成手順

 

・写本の翻刻を進めながら、「Excel」で管理している『源氏物語』本文データベースを増補していく。

・「Excel」で管理している『源氏物語』本文のデータを、テキストタイプ(TXT形式)で書き出す。このとき、大島本・陽明本・保坂本・尾州本・国冬本・東大本だけを取り出す必要はない。作成済みの『源氏物語』本文データベースの全データを使えばよい。

・フリーソフトウェア「SedMac Interface 1.0」で単語処理(異同を均すために、本文表記文字を統一する。200行まで可能。)

 「Excel」など色々なソフトを使用後はフリーズするので要注意。

 私家版「漢字統一変換.txt」を使用する(本稿末尾に一覧としてあげた)。

・その後、「SedMac Interface 1.0」よりも、同じくフリーソフトウェアである「ConvChar 0.8.2」の方が使い勝手がようことがわかり、作業ソフトウェアを変更する。使用する変換用の辞書は、上記の私家版「漢字統一変換.txt」である。

・「重み付け作業シート」に対校用の本文データを取り込むために、「ファイルメーカーPro」のデータシートのボタンを活用して、オートで対校本文を取り込む。

・作業協力者にファイルを渡し、重み付け作業を進行してもらう。

 

 

◎重み付け終了データの処理手順

 

・「ファイルメーカーPro」で作成した「重み付け作業シート」のボタンを活用して、作業終了データをカンマ区切りテキストとして書き出す。

・「Excel」に読み込んで、階級値の集計をする。

・集計結果にもとづいて、各伝本の相関関係図を作成する。

 

 

◎本文異同処理の凡例 【98年度版】 (1998.6.02)

 ※本年度は、三段階の階級値を設定した。

 *対校基準本文(別本など)に対して、大島・尾州各本文の校異をチェックする。

 (大島・尾州本が、対校本文とどういう位相にあるかを見るため。)

 

〈階級値・重み付け〉

 

 ┏━【10】完全一致・類似表記による一致

 ┃  (基準本文と対校本文が完全に一致する場合は、事前にパソコンで処理済み)

 ┃  (不完全一致を含めて、ほぼ同一の語句と認定しうるもの)

 ┃  (常識的な知識(高校古典レベル)で音読比較してほぼ同一の場合)

 ┃  (音便・送仮名・仮名遣・漢字・仮名・踊字の相違を区別しない)

 ┃

 ┣━【5】判定保留・その他例外

 ┃  (上下いずれとも決しがたいもの。判断に迷ったもの。)

 ┃

 ┗━【0】語句変化・字句加除による不一致

    (「ナシ」の項目は事前にパソコンで処理済み)

    (語句や字句が、一部でも変化・欠落・補入の場合)

    (語句の活用・異語・加除がある場合)

 

 

・【10】完全一致・類似表記 の例

    なりなむ,【10】,なりなん,【0】,なりぬる,

    給ひて,【10】,給て,【10】,給て,

    をもふ,【10】,おもふ,【10】,おもう,

    夢の,【10】,ゆめの,【0】,夢に,

 

☆異同判定上の注意事項

 ◎ほぼ一致とするもの

 ・漢字表記上の異同は、異同なしとする。

    船【10】舟

 ・不読文字(△)は、ひとまず対校本文に合わせる。無理に異同としない。

    はかり【10】は△り【10】はかり

 ・音便無表記の異同。

    これなむと【10】これなと【10】これなんと

 ・明らかな誤字は仮名遣の異同。

    こそ【10】うそ【10】こそ

 ・仮名遣の異同。

    事も【10】事ん

    あたり【10】わたり

 ・踊り字の異同は、符号記号の誤読誤写と認めて、漢字仮名踊字の異同とする

    いと【10】いとゝ【10】いとと

    かつゝ【10】かつら【10】かつら

 ◎不一致とするもの

 ・部分的変化とするもの。

    おほし【0】おもほし(同意語)

    かけはなれ【0】けはなれ/〈ママ〉(単純な書写ミスと思われる)

    給ひ【0】給ふ【0】給へ(活用形の異同)

 

【メモ】

 *異同判定の前に、漢字・仮名の統一処置をすることによって、文字レベルでの単純な異同減らすようにした。

 *使用したソフトは、フリーウェアソフトの「ConvChar 0.8.2」である。

  以下に、その変換に用いた辞書を公開する。

 *処理データの統一に伴い、作業完了分(平成九年度)は新しい基準で全データを変換した。

 *処理データの全ては、点検・整定完了後に有効な部分のみを公開する。

 *あくまでも、本行本文で対校し、「/」記号以下の付加情報は対象外とする。

  ・ナゾリ文字は異同なしとする。直前の字句を完全に消去する意志があるため。

    かく,【10】,かく/く&く,【10】,かく,

 

 

*異同を減らすために、事前に置き換えた文字の一覧*

   次のような例に注意すること。

    ↓さい宮 bさいくうb斎宮

    ↑さいみやbさいくうbさいみや

 

    ↓御息所  b  みやすところb御やすみ所

    ↑おほん息ところbみやすところbみやすみところ

 

    ↓御門  bみかとb帝

    ↑おほん門bみかとbみかと

 

 これらは、以下のように漢字を平仮名に置き換えたことによって生じた相違であるため、すべて一致(10)とする。

(順不同) 

あき

あさ

あはれ

いま

いろ

いん

うち

うま

おんな

をんな

おんな

おとこ

をとこ

おとこ

おほん

かけ

かせ

かす

かた

かみ

かは

かは

上達部

かんたちめ

かむたちめ

かんたちめ

きさき

きさい

きさき

きみ

北方

きたのかた

きやう

くさ

くに

くも

くるま

こころ

こゝろ

こゝち

心ち

ここち

心ち

子達

こたち

こと

こひ

惟光

これみつ

ころ

さい

さい

僧都

そうつ

そう

そら

そて

おもは

思は

おもひ

思ひ

おもふ

思ふ

おもへ

思へ

たてまつら

奉ら

たてまつり

奉り

たてまつる

奉る

たてまつれ

奉れ

たまは

給は

たまひ

たまい

給い

給ひ

給ふ

たまふ

たまへ

給へ

たまて

給て

たま

はへり

侍り

はへら

侍ら

はへる

侍る

はへれ

侍れ

聞え

聞へ

きこへ

きこえ

きこゆ

聞ゆ

まつ

まへ

ちきり

つき

つゆ

とき

とし

ところ

殿

との

とり

とも

なか

なに

なみた

なお

なを

なお

なほ

なお

なり

のち

はな

はる

なつ

あき

ふゆ

ひかし

ひと

ひめ

ふみ

ほと

また

みや

もの

やま

ゆめ

よろつ

らん

/\

なむ

なん

ほとけ

こえ

ふち

まひ

まい

まひ

いえ

きく

いは

有さま

ありさま

われ

おり

この

有へき

あるへき

有まし

あるまし

有け

ありけ

くち

あめ

した

うへ

うえ

うへ

つま

かえし

かへし

返し

かへし

ゆく

いく

廿

二十

なり

頭の

とふの

とうの

いり

ならむ

ならん

けむ

けん

らむ

らん

はむ

はん

へむ

へん

みむ

みん

うるわし

うるはし

つかう

つかふ

かう

かふ

なう

なく

くしう

くしく

いたう

いたく

おしう

おしく

かしう

かしく

ましう

ましく

みしう

みしく

めしう

めしく

つらう

つらく

はしう

はしく

さしう

さしく

ひしう

ひしく

ほしう

ほしく

しうて

しくて

/\しう

/\しく

やむこと

やんこと

くれ

ほう

さま

のきみ

きみ

すえ

すへ

あい

あひ

ちいさ

ちひさ

れひ

れい

きん

きむ

さん

さむ

とん

とも

めん

めむ

源し

源氏

おほいとの

おほとの

大との

おほとの

きき

きゝ

とと

とゝ

のの

のゝ

いとと

いとゝ

まま

まゝ

やや

やゝ

はゝ

ちやう

おもほ

おほ

おもえ

おもへ

おほんこ

みこ

ひかしみや

春宮

はるみや

春宮

とうくう

春宮

ちかふ

ちかく

ちかう

ちかく

ちかう

ちかく

かたう

かたく

しうて

しくて

こうきてむ

こきてん

こうきとの

こきてん

弘徽との

こきてん

くえんし

源氏

けむし

源氏

はう

おほん門

みかと

なか将

中将

たえ

たへ

気色

けしき

気しき

けしき

気はひ

けはひ

気はい

けはひ

屏かせ

屏風

ねむし

ねんし

ふるまい

ふるまひ

いとほし

いとおし

うち侍

内侍

ないし

内侍

なまめい

なまめき

めいた

めきた

いみしう

いみしく

いわけ

いはけ

なかふ

なかく

なかう

なかく

(順不同)

表紙
序文
凡例
論考
拾遺