序文b初年度分の経過b

 これは、文部省科学研究費補助金の平成九年度の研究成果報告書である。

 本報告書は、重点領域研究「人文科学とコンピュータ」において「源氏物語古写本における異本間の位相に関する研究」(研究課題番号b09204240)として採択された課題のうち、二年計画の初年度分となるものである。

 申請時に提出した書類の大凡は、本ホームページの表紙の項目としてあげた、「概要」「背景」「目的」「特色」「計画」「英文」で確認できるようになっている。
 ここでは、研究報告として
  ・「序文b初年度分の経過b」
  ・「加重相加平均処理のための凡例」
  ・「[研究論文]源氏物語本文の位相と定位に関する考察
      ー「澪標」十五種の書写様態判別の基準についてー」
  ・「今後に残された問題点」
の4項目をまとめている。

 研究着手にさきだって、データを処理するためのコンピュータ用のデータベースシートとして考えたのは、次のスタイルのものであった。

 このシートをもとにして、いくつかの巻を処理することにより、より使い勝手のよいものに改良していくことにした。最初の実作業用のシートは、次のものであった。

 

 このシートを使用しているうちに、いろいろな問題点がでてきた。その詳細は後掲の凡例と手順書、および研究論文に譲ることにする。
 大幅な改良を施したものが、以下のものである。

 

 このデータシートは、実作業を通して作成・改良したものだけに、完成度の高いものとなっていると思う。ただし、研究論文に記したように、[0]〜[10]という細かな重み付けの意味が曖昧であり、その問題点が処理結果を考察していく中で明らかになってきた。そこで、比較対照となるそれぞれの語彙が、一致するか一致しないか、という基準で見ていくことに変更することとなった。そして、さらに改良したものが下図のものである。これが、現在の完成スタイルである。チェック項目を半分に減らすことにより、より有効な異本の位相を知る手がかりが掴めることとなったのである。

 一通りの作業を終えてデータをとりまとめる段階で、さらに重み付けの基準をシンプルにしても、大勢に影響しないことがわかった。チェック項目が減れば、それだけ作業効率が上がるのは必定である。

 初年度分の作業を通して、とにかく予想を遙かに越える、膨大な時間が必要であった。次年度に本研究を継続するためには、新たな基準による対応に対処できるよう、現在データの点検と改善に着手しているところである。

表紙

序文

凡例

論考

今後