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研究の計画

 本研究の計画は、第2年目の本年をもって終了するものである。

 初年度は〈1-異文判定用基礎データの作成〉と〈2-異同に対する1件毎の重み付け作業〉を行なった。

 本2年目には〈3-国冬本と東大本の基礎データの作成〉〈4-国冬本と東大本の重み付け作業〉〈5-分析結果にもとづく考察〉を行なう。

 

■平成10年度(2年目・資料整理と考察)

 まず、前年度未着手の国冬本と東大本の異文判定用基礎データの整備をする。古写本を見ながらの、校正と文節の切り直しなどの作業である。その後は、前年度と同様の手法で、異文判定作業を行なう。『源氏物語』の総文節数を約214,000文節(陽明本で換算)とし、下図のような形式のシートに本文異同の重みを付与していく。これは、平成9年度の作業を通して開発したソフトの画面図である。

 本年度も、早い段階で〈1-異文データ処理ソフトウェア〉と〈2-全データ検索表示ソフトウェア〉の開発を依頼する。私が平成4・5年度の科研費研究(一般研究C・課題番号d04610266)の一環で開発したデータ検索表示プログラム〈プロムナード〉を、今回はさらに使い勝手のよい研究者指向のものに作り直していきたい。

 最終的なデータ処理の結果は、「澪標」で試みたグラフ化を三次元に54パターン並べるイメージで捉えている。さらには、知りたい傾向を自由に表示できるソフトウェアも開発するつもりである。

 なお、平成9年度の作業経費は、1件の処理単価を0.5円とし、その4本分から算出した。しかし、これらの作業には、膨大な時間のみならず、古写本が読めてパソコン操作に習熟していることや、古語に対する理解を必要とする。また、異文判定にあたって、しばしば判断を保留して打ち合わせの後に調整作業を行なった。そのために、研究協力者への時間の負担が予想の3倍以上にも達した。したがって、本年度はこうした実情に合うように、データ処理作業に要した時間で作業経費を算出することにした。平成9年度は、4種類の古写本を対象にした。2年目の平成10年度は、当初の予定通り、残った2種類の古写本の異同を扱うことにする。



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