【私の研究活動】


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種類区分  
書名・論題
 
発表年月
誌名・発行所
 概要
A-著書・編著 1 『源氏物語別本集成 第一巻 桐壷〜夕顔』 共著 平成元・ 3 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)桜楓社 源氏物語の本文研究の中で、いわゆる青表紙本・河内本に比べて、別本と呼ばれる一群の本文の研究は非常に遅れている。そのような現状を勘案して、別本諸本の正確な本文を集成することによって、今後の別本研究への端緒とすべく、本書を刊行することになった。編集から版下作成までの全工程は伊藤が担当した。また、本書の内容は、コンピュータを利用した研究にも対応できるように、データベースを目指して作成されている。(本文・校異編15巻)          
A-著書・編著 2 『源氏物語別本集成 第二巻 若紫〜花宴』 共著 平成元・ 6 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)桜楓社     同上
A-著書・編著 3 『源氏物語別本集成 第三巻 葵〜須磨』 共著 平成 2・10 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)桜楓社     同上
A-著書・編著 4 『源氏物語別本集成 第四巻 明石〜絵合』 共著 平成 3・ 1 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)桜楓社     同上
A-著書・編著 5 『源氏物語別本集成 第五巻 松風〜乙女』 共著 平成 4・ 5 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)桜楓社     同上
A-著書・編著 6 『源氏物語別本集成 第六巻 玉鬘〜篝火』 共著 平成 5・ 9 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 7 『源氏物語別本集成 第七巻 野分〜梅枝』 共著 平成 6・10 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 8 『源氏物語別本集成 第八巻 藤裏葉〜若菜上』 共著 平成 8・5 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 9 『源氏物語別本集成 第九巻 若菜下〜柏木』 共著 平成 10・5 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 10 『源氏物語別本集成 第十巻 横笛〜御法』 共著 平成 12・4 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 11 『源氏物語別本集成 第十一巻 幻〜橋姫』 共著 平成 12・11 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 12 『源氏物語別本集成 第十二巻 椎本〜総角』 共著 平成 13・4 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 13 『源氏物語別本集成 第十三巻 早蕨〜宿木』 共著 平成 13・10 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 14 『源氏物語別本集成 第十四巻 東屋〜浮舟』 共著 平成 14・6 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 15 『源氏物語別本集成 第十五巻 蜻蛉〜夢浮橋』 共著 平成 14・10 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう     同上
A-著書・編著 16 『私家版・別冊 源氏物語別本集成』 単著 平成14・12 (伊藤鉄也編)私家版 『源氏物語別本集成』全十五冊が、足掛け十六年を費やして無事完結した。その記録保存版として、『源氏物語別本集成』全冊より、「扉」「凡例」「凡例補遺」「作業担当者一覧」「奥付」を再編集し、私家版としてまとめたものである。
A-著書・編著 17 『句集 ひとつぶのむぎ』 共著 昭和58・4 (伊藤鉄也編)私家版 父の川柳作品を、『昭和万葉集』のスタイルに倣って配列し、写真やイラストなどを多用して自宅で版下を作製して刊行したものである。ワードプロセッサが普及する前でもあり、本書作製の経緯については、拙文「新時代の私家版 −本書刊行について−」で詳述している。日本出版史に残る書籍でもある。製本は、溝付き角背の洋本仕立てで、特装の箱入りとなっている。
A-著書・編著 18 『舗道の雨』 共著 昭和59・5 (伊藤鉄也編)私家版 亡父の川柳句集『ひとつぶのむぎ』刊行後、その姉妹編として編集刊行したものである。内容は、遺稿・雑文・川柳・クイズなど、さまざまなものを取り集めている。また、『ひとつぶのむぎ』の発句索引も収録した。巻頭には、西国三十三所の資料を掲載した。装幀は四つ目綴じの和装本である。
A-著書・編著 19 『まぼろし』 共著 昭和60・5 (伊藤鉄也編)私家版 亡父が高校の校歌を作った経緯をまとめて刊行したものである。拙文「父と作った幻の校歌案」は、亡父への報告書でもある。巻頭には、新西国三十八霊場の資料を掲載した。装幀は、折本仕立ての中でも糊入れ画帳と言われるスタイルをとった。
A-著書・編著 20 『新文学資料整理術 パソコン奮戦記』 単著 昭和61・11 桜楓社 パソコンを活用した文学資料の整理と研究方法をまとめた。試行錯誤の過程と具体例をもとに、文具としての有用性について述べた。特に第三章では、源氏物語の書写本の資料整理法の一例を取り上げた。ここでは写真をまじえながら、パソコンの実践的な使用方法としてのデータ・ベース・ソフトの活用方法を詳述している。パソコンを導入した文学研究に関する、草創期の著作である。
A-著書・編著 21 『わがままいっぱい』 共著 昭和62・2 (伊藤鉄也編)大阪府立大正高等学校 卒業記念文集として、卒業生徒たちの作品を刊行したものである。内容は、「青春・若さ」をテーマとする作文、「私のアクセント」と題する調査結果の報告文、高校生活三年間の思い出を短歌三首にまとめたものである。青春時代の素直な意見や、自分が日頃使っている言葉の分析そして心の中を、歌で表現したものとなっている。なお、製本と装幀は箱入り上製本という凝ったものである。
A-著書・編著 22 『データベース・平安朝 日記文学資料集 第一巻 和泉式部日記』 単著 昭和63・11 同朋舎 平安朝を舞台とする恋愛日記が、コンピュータで読める研究資料となった。三条西本・寛元本・応永本・混成本の四本が一覧できる。組み込まれた「プロムナード」というプログラムによって、自由に語句が検索できるシステムとなっている。本邦初の、本格的なパーソナル・データベースの第一弾となるものである。
A-著書・編著 23 『源氏物語受容論序説 ー別本・古注釈・折口信夫ー』 単著 平成 2・10 桜楓社 本書は、源氏物語がどのように読まれ、どのように研究されてきたかという側面と、これからどのように研究していくことが可能なのかに焦点を当て、〈受容相〉というテーマを意識しながらまとめたものである。序章・本書の視点/第一章・別本本文への視点/第二章・受容史への視点/第三章・折口信夫と三矢重松の源氏物語観、で校正されている。 なお、本書は、平成二年度の〈高崎正秀博士記念賞〉を受賞したものである。
A-著書・編著 24 『思い出つみき』 共著 平成3・2 (伊藤鉄也編)大阪府立盾津高等学校 卒業記念歌集として、生徒たちの和歌を刊行したものである。内容は、シルクロードをテーマにしたレリーフ写真、修学旅行短歌集、高校生活三年間の思い出短歌、そして熊谷先生を追悼する短歌集などをまとめたものである。なお、製本・装幀は箱入り上製本という凝ったものであり、用紙は特別に漉いたものを使用している。
A-著書・編著 25 『四本対照 和泉式部日記 校異と語彙索引』 単著 平成 3・ 5 和泉書院 〈校異編〉では、四種類の翻刻本文が、文脈をたどりながら一覧できる。また、三条西本・寛元本・応永本については、その語彙を字母レベルで細分類した索引で検索できるようにしたのが〈語彙索引編〉である。ここでは、写本の傍記・見せ消ち・補入・朱筆なども検索可能である。
A-著書・編著 26 『データベース・平安朝 日記文学資料集 第二巻 蜻蛉日記』 共著 平成 3・ 6 (伊藤鉄也・関本幸子編)同朋舎 古典文学作品のデータベース化第二弾。底本桂宮本は近世の書写で、また欠陥本文が多い。そこで、『改訂新版かげろふ日記総索引本文編』を参照して、古本系諸本7本や11種の校訂本文との異同がわかるように配慮した。また、『新日本古典文学大系蜻蛉日記』の推測本文箇所もわかるようにしている。
A-著書・編著 27 『パソコン国語国文学』 共著 平成7.1 (西日本国語国文学データベース研究会編)啓文社 国語国文学の研究領域にコンピュータを導入するにあたっての様々な問題点を、小野小町の和歌データを実例として西日本国語国文学データベース研究会のメンバーで分担執筆によって解説した。資料操作方法や研究方法の実例と実際の操作事例などを、これからその導入を検討している初学者に向けて書き下ろした。所収拙稿「画像としての小野小町」は、本書のカバー表紙作成の経緯を誌上に再現することによって、コンピュータを活用した文学研究も、画像を扱うマルチメディアの時代となったことを踏まえて述べたものである。
A-著書・編著 28 『都という文化』 共著 平成 7. 6 (井上満郎・伊藤鉄也・他編)おうふう 本書所収の拙稿「平安朝マルチメディア・データベース私案 −資料の収集と整理について−」は、人文科学系の分野における、マルチメディア情報を自由に活用できる環境整備を目指して、現在作成が進行しつつあるデータベースの一パターンを私案として提示するものである。これは、伊井春樹氏の〈日本古典文学総合事典データベース〉の基本構想を出発点とするものであり、その一展開および一分野の具体化でもある。
A-著書・編著 29 『「人文科学とコンピュータ」1997年度研究成果報告書(CD-ROM版)』 共著 平成10・3 (及川昭文・伊藤鉄也・他篇)総合研究大学院大学 1995年度よりスタートした、文部省科学研究費補助金重点領域研究の成果をCD-ROMで公開したものである。61課題の一大プロジェクトで、参加研究者は200人以上に達する。人文系と理工系の研究者がほぼ半々で参加している。コンピュータと情報科学を注入し、人文科学研究の活性化と支援を目指すものである。伊藤の研究課題名は、「源氏物語古写本における異本間の位相に関する研究」である。
A-著書・編著 30 『源氏物語を読む ゆかり 五十回の歩み 共著 平成10・9 (伊藤鉄也編)私家版 大阪明浄女子短期大学における社会人講座「源氏物語を読む」を始めたのは、平成七年十月であった。三年目に五十回を迎えたのを記念して、参加者に寄せていただいた文章を編集したものである。地域社会への開かれた活動を通しての貢献を、活動の記録として編集したものである。
A-著書・編著 31 『人文科学とコンピュータ コンピュータ支援による人文科学研究の推進 共著 平成11・3 (及川昭文・伊藤鉄也・他篇)総合研究大学院大学 1995年度よりスタートした、文部省科学研究費補助金重点領域研究の成果の最終報告書である。61課題の一大プロジェクトで、参加研究者は200人以上に達する。人文系と理工系の研究者がほぼ半々で参加している。コンピュータと情報科学を注入し、人文科学研究の活性化と支援を目指すものである。伊藤の研究課題名は、「源氏物語古写本における異本間の位相に関する研究」である。
A-著書・編著 32 『「人文科学とコンピュータ」1998年度研究成果報告書(CD-ROM版)』 共著 平成11・3 (及川昭文・伊藤鉄也・他編)総合研究大学院大学 1995年度よりスタートした、文部省科学研究費補助金重点領域研究の成果をCD-ROMで公開したものである。61課題の一大プロジェクトで、参加研究者は200人以上に達する。人文系と理工系の研究者がほぼ半々で参加している。コンピュータと情報科学を注入し、人文科学研究の活性化と支援を目指すものである。伊藤の研究課題名は、「源氏物語古写本における異本間の位相に関する研究」である。
A-著書・編著 33 『源氏物語(絵入)〔承応版本〕CDROM』 共著 平成11・7 (中村康夫・伊藤鉄也・他編)岩波書店 国文学研究資料館が編集した、〈国文学研究資料館データベース 古典コレクション〉シリーズの第1回配本分となるもので、『源氏物語』に関する古典本文のデータベースである。『絵入源氏』と呼ばれている近世の版本を底本とし、本文検索や挿絵が閲覧できるデータベースとなっている。本データベースは、CDROMによって利用できる形態での刊行である。
A-著書・編著 34 『CDROM 古典大観 源氏物語』 共著 平成11・11 (伊井春樹・伊藤鉄也・他編)角川書店 本CDROMは、『源氏物語』の本文をはじめとする各種情報を自在に検索できるものである。教育現場と研究者を強く意識したものとなっている。その特色は、信頼できる校訂本文・四種類の翻刻本文・大島本のカラー影印画像の表示・文法情報・語句の読み・感情色彩語彙・登場人物と地名地図の情報・『新編国歌大観』と引歌・事項索引としての総合事典という、実に多様な用途に適したものとなっている。現在も幅広く活用されているものである。
A-著書・編著 35 『古典講演シリーズ5 伊勢と源氏 物語本文の受容』 共著 平成12・3 (山本登朗・片桐洋一・伊井春樹・岩佐美代子・伊藤鉄也編)臨川書店 多くの人々に愛され、文学のみならず、芸術や生活の中にまで影響を与えつづけてきた『伊勢物語』と『源氏物語』。その本文成立の過程と享受の諸相を辿り、新しい読みを提示する。物語の本質に迫る五編を収録。本文とそこから離れた独自の享受の復原、本文の伝来・校訂・研究の歴史及び問題点、本文の周到な読みと解析、本文データベースの流通、という五方向からの照射と交差によって、その受容・交錯・流動の諸相が、物語という枠をも超えて鮮やかに浮かび上がってくる。拙稿は「『源氏物語』受容環境の変革ー古典文学のデータベース化についてー」。
A-著書・編著 36 『「源氏物語」の異本を読む 「鈴虫」の場合』 単著 平成13・7 臨川書店 現在一般に読まれている、いわゆる青表紙「大島本」以外にも、さまざまな本文を伝える「異本」が数多く存在している。新二千円札が発行されたのを機に、その図柄となった「鈴虫」を題材にして絵巻詞書を読み、また異文の検討を通して、本文研究の現状と課題、異本研究の必要性を述べた。未紹介資料の国冬本や異本三十種の対校資料を付し、異文検証の緊急性を提言するものである。
A-著書・編著 37 『チェスター・ビーティー・ライブラリィ 絵巻絵本改題目録 解題編・図録編』 共著 平成14・3 (国文学研究資料館、チェスター・ビーティー・ライブラリ 共編)勉誠出版 本書は、アイルランドのダブリンにあるチェスター・ビーティー・ライブラリィの所蔵にかかる日本関係のコレクションの内、絵巻・絵本を主体とする古典籍の解題目録(解題篇・図録篇)である。この中で、『伊勢物語』(写本・刊本)、『伊勢物語画帖』(写本)、『伊勢物語絵巻』(写本)の計五点に関する解題を、藤島綾氏と共同で執筆した。
A-著書・編著 38 『源氏物語本文の研究』 単著 平成14・11 おうふう  現在読まれている『源氏物語』は、鎌倉時代の藤原定家の手を経た後、江戸時代の校訂結果を取り込んだ、いわゆる青表紙「大島本」が元となっている。しかし、これ以外にも平安時代以来の異本異文はたくさん伝えられていた。大島本以外の本文を読み、別の表現世界を確認し、平安・鎌倉時代の『源氏物語』のありようを考えることは、作品理解の上でも重要である。『源氏物語』の本文研究は、池田亀鑑氏による昭和10年代の成果の後は、ほとんど進展していない。手つかずのまま放置された写本群(いわゆる別本)を横にして、半世紀以上が過ぎてしまった。そのような現状を踏まえて、本書はこの『源氏物語』の本文について、諸本の翻刻を通して明らかになった問題を起点として論じたものである。平成13年に大阪大学に提出した学位論文を公刊したものである。
A-著書・編著 39 『国文学「解釈と鑑賞」別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 No.28 蜻蛉』 共著 平成15・4 (伊藤鉄也編)至文堂 『源氏物語』を読解するにあたっての基礎知識をまとめたシリーズの第28巻である。「蜻蛉」は、浮舟失踪後の遺骸なき偽装の火葬や、浮舟を取り巻く人々の動静から語り出される。亡き浮舟についての、薫や匂宮の対照的な対応に注目したい。宇治十帖の後半に位置する「蜻蛉」巻は、これまであまり丹念に読まれては来なかった。遅れている本文研究や作品解釈の更なる展開のためにも、本巻はよき道しるべとなろう。
A-著書・編著 40 『海外における源氏物語』 共著 平成15・12 (伊藤鉄也編)国文学研究資料館 海外における日本文学に関する情報が整理されていない現状を踏まえて、『源氏物語』に関する翻訳書と研究書の解題を作成してまとめたものである。文部科学省科学研究費補助金対象の研究「外国語による日本文学研究文献のデータベース化に関する調査研究」の調査報告書を兼ねている。本書は、あくまでも現時点での国文学研究資料館所蔵翻訳本を中心とした解題の試行版である。今後刊行を予定しているシリーズの第1作となるものである。
A-著書・編著 41 『スペインにおける日本文学』 共著 平成16・9 (伊藤鉄也編)国文学研究資料館 2004年9月22日より、スペイン、サラマンカ大学で、日本資料専門家欧州協会(EAJRS)主催の会議が開催される。そこで「海外における日本文学研究に関する情報の共有化」と題して研究発表するのにあわせて、スペインにおける日本文学に関する情報を整理して刊行するものである。文部科学省科学研究費補助金対象の研究「外国語による日本文学研究文献のデータベース化に関する調査研究」の調査報告書を兼ねている。本書は、あくまでも現時点での国文学研究資料館所蔵翻訳本を中心とした解題の試行版である。シリーズの第2作となるものである。
A-著書・編著 42 『〈水〉の平安文学史ー平安文学場面生成研究プロジェクト論文集1ー』 共著 平成17・2 国文学研究資料館 本書は、国文学研究資料館における平成16年度プロジェクト研究の成果の一部である。拙稿は、平安文学作品における〈水〉の平安文学史の一節をなすものである。歌物語において、〈雨〉の中での男と女の表現を丹念に確認している。各場面で語られる男と女の心情を読み解く中で、〈雨〉の役割と働きというものをも考えていく。対象となる作品は『伊勢物語』『大和物語』『平中物語』であり、共に流布本における表現を扱っている。記述内容と関連情報の所在は、共有資料として蓄積する必要がある。本稿末尾の〈資料編〉は、その点を意識して歌物語に関する本文を掲載している。
A-著書・編著 43 『海外における平安文学』 共著 平成17・3 (伊藤鉄也編)国文学研究資料館 海外における日本文学に関する情報が整理されていない現状を踏まえて、平安時代の『源氏物語』以外の物語・日記・和歌に関する翻訳書と研究書の解題を作成してまとめたものである。文部科学省科学研究費補助金対象の研究「外国語による日本文学研究文献のデータベース化に関する調査研究」の調査報告書を兼ねている。本書は、あくまでも現時点での国文学研究資料館所蔵翻訳本を中心とした解題の試行版である。シリーズの第3作となるものである。
A-著書・編著 44 『海外における日本文学研究論文1』 共著 平成17・3 (伊藤鉄也編)国文学研究資料館 本書は、文部科学省科学研究費補助金(基盤研究B)における3カ年計画のうち、第2年目までに収集した情報に関する中間報告資料集である。別冊『海外における源氏物語』『スペイン語圏における日本文学』『海外における平安文学』の3冊が翻訳書中心であったことに対して、本冊は日本国外で発表・公表された〈海外における日本文学研究論文〉を対象としたものである。本冊子は、多くの方々からの要望を受けて、手元に集めた論文情報をひとまず一覧できる印刷物としたものである。
A-著書・編著 45 『源氏物語別本集成 続 第一巻 桐壷〜夕顔』 共著 平成17・5 (伊井春樹・小林茂美・伊藤鉄也編)おうふう 『源氏物語別本集成』全15冊が、平成14年10月に完結した。それに未収録の写本を、『源氏物語別本集成 続』として刊行を開始するものである。『源氏物語別本集成』で確認した字数は約3億3千万字。その3倍の分量となる膨大な本文を今後校合することによって、『源氏物語』の本文に関する基礎資料の集大成としたい。本文を管理する文節番号を10桁とし、陽明文庫本の校訂本文をあげ、それに小見出しを添えるなどの工夫を施した。本続編を刊行するにあたっては〈特定非営利活動(NPO)法人 源氏物語の会〉の全面的な支援を得ている。
A-著書・編著 46 『源氏物語の享受と変容』 共著 平成17・8 (伊藤鉄也・阿部真弓・海野圭介・胡秀敏・藤井由紀子編)私家版 ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)主催の第11回国際学会(於ウィーン大学)において、グループ発表で参加した時のレジメと資料を冊子として刊行したものである。伊藤は本グループの代表者として冊子編集と司会進行役をつとめ、「日本文学研究に関する情報の共有化」と題して、『源氏物語』のダイジェスト版である『おさな源氏』の他言語翻訳に関して報告した。なお、本書の表紙は、伊藤蔵の源氏絵が盗用されたことに関する問題提起となるようにデザインしたものである。
B-日本文学論            
B-日本文学論 01* 「さくら人巻論の可能性ー源氏物語古系図の検討を通してー」 単著 昭和52・ 9 『王朝文学史稿 第4・5合併号』王朝文学史研究会 『源氏物語受容論序説』所収 源氏物語構想論の中の、玉鬘系後記説を問題とする。古注釈書に見られる「さくら人」巻を、古系図等の記載を検討することによって、その立論の可能性を追求する。物語内部で複雑に成長・発展・整理統合されていく姿を、受容資料における記載の異同と、それに伴なう微妙な<ゆれ>から、成立過程を逆照射した。
B-日本文学論 02* 「玉鬘十帖の受容相に関する試論ー古系図における夕霧と髭黒の場合ー」 単著 昭和53・ 3 『國學院大學大学院文学研究科論集 第5号』 『源氏物語受容論序説』所収 今は不伝の「さくら人」巻の様態を推察し、物語の受容相を検討したものである。玉鬘十帖とその前後に位置する巻々を、源氏物語古系図の作者たちがどのように読み、どう伝えているか。この問題を考究することによって、原玉鬘物語における夕霧と髭黒の二人の<ありよう>をクローズアップしたものである。
B-日本文学論 03* 「空蝉小考ー『光源氏物語抄』の巻名表示を中心にー」 単著 昭和54・ 7 『日本文学論究 第39冊』國學院大學国語国文学会 『源氏物語受容論序説』所収 帚木三帖の成立過程を、いわゆる並びの巻論とは視点を変えて考察した。空蝉物語の扱われ方の不自然さを、受容資料から追求する。特に『光源氏物語抄』に見える二つの「空蝉」という巻名表示から、受容資料としてのテキストの本文の<ゆれ>の問題と、その事情を論じた。
B-日本文学論 04* 「『源氏釈』依拠本文の性格(上)(下)ー玉鬘十帖における別本の位相ー」 単著 昭和54・10、昭和55・10 『王朝文学史稿 第7号』『同 第8号』王朝文学史研究会 『源氏物語受容論序説』所収 世尊寺伊行の『源氏釈』に抄出されている本文の性格を分析することによって、平安朝に脈絡を保つ、より原初の姿を示す源氏物語本文を知ることが可能となる。現存諸伝本が全て鎌倉時代をさかのぼり得ない中で、この抄出本文の考察は新たな問題点を数多く提示してくれる。本稿では、源氏釈抄出本文全例の異同傾向を分析した後、玉鬘十帖を取りあげる。そして詳細な検討を行なうことによって、物語の形成過程を考究する場合の別本の有効性を論じる。さらには、放置されたままの別本群解明の糸口としての陽明文庫本と源氏釈抄出本文との関係を明確にしている。        
B-日本文学論 05* 「源氏物語若紫の別本(対比資料・覚書)」 単著 昭和55・ 8 『国書逸文研究 第5号』国書逸文研究会 『源氏物語受容論序説』所収 『源氏物語大成』未収録の別本として、中山家本「若紫」がある。この本文が伝阿仏尼筆本・源氏釈抄出本文とも脈絡を保つもので、平安末期の古態を伝存させるものであることを確認することによって、今後の物語研究に別本を加えての立体的な考究が可能となることを論じる。
B-日本文学論 06* 「別本中山家本若紫における藤壷の苦悩」 単著 昭和55・11 『日本文学論究 第40冊』國學院大學国語国文学会 『源氏物語受容論序説』所収 別本中山家本「若紫」の性格とその位相を確認して、物語本文の諸相へのアプローチを試みる。源氏と藤壷との密通事件に視点を当てて、別本が描く藤壷像を浮き彫りにしてみた。語りものから文芸への流れが、異本の本文の背景からも読み取ることができるのではないかという、新しい受容相を示したものである。
B-日本文学論 07* 「絵に描ける楊貴妃考ー桐壷巻における別本の位相ー」 単著 昭和56・10 『王朝文学史稿 第9号』王朝文学史研究会 『源氏物語受容論序説』所収 本稿は、異本と古注の検討を通して、古来問題とされてきた「桐壷」の「絵に描ける楊貴妃の容貌は…」とある箇所の、異文の位相を考察する。長恨歌から離脱しきらない段階の、草稿本から清書本への修補改訂の過程を見せる本文の様態を、物語諸伝本間の異同を通して追求した。
B-日本文学論 08* 「物語本文を刈り込むことー折口信夫博士の源氏物語観ー」 単著 昭和56・11 『日本文学論究 第41冊』國學院大學国語国文学会 『源氏物語受容論序説』所収 折口信夫の未完の仕事に『新編源氏物語』がある。これは、一般の読者を得られなくなった源氏物語の本文を刈り込んで、わかりやすくすることに主眼があった。一見中世の梗概書のようにも見える企画の発想の基盤に、折口独自の源氏物語観が読み取れる。「末摘花」を例にして検証する。
B-日本文学論 09* 「折口源氏の輪郭」 単著 昭和58・ 3 『王朝文学史稿 第10号』王朝文学史研究会 『源氏物語受容論序説』所収 源氏物語研究史の一章として、折口信夫の源氏物語観を理解するための諸資料を一覧形式でまとめたものである。折口源氏は、研究としては一書も刊行されなかった。宙に浮いたままの折口信夫周辺の源氏関係の資料を、年譜の形で整理した。いわば折口源氏の履歴書である。
B-日本文学論 10* 「三矢重松と折口信夫ー源氏物語全講会継承前史ー」 単著 昭和59・ 9 『王朝文学史稿第11号』王朝文学史研究会 『源氏物語受容論序説』所収 三矢重松と折口信夫との、師弟としての交渉をたどることによって、折口信夫の学問の形成過程を探求した。折口信夫が源氏物語全講会を継承する前史を見直すことによって、折口信夫の源氏物語研究が、三矢重松によって導かれたものであることを確認するものである。
B-日本文学論 11* 「源氏物語大成未収録の天理図書館の別本群ーパーソナルコンピュータを利用しての研究報告ー」 単著 昭和60・12 『王朝文学史稿 第12号』王朝文学史研究会 『源氏物語受容論序説』所収 源氏物語の宝庫といわれる天理図書館の写本群の中から、資料的な価値の高い「麦生本」と「阿里莫本」の現況の確認と、以下の三点についての私見をまとめた。『源氏物語大成』未収の別本「薄雲」二冊・『源氏物語大成』の別本校異の信頼度・パソコン利用の本文研究について。
B-日本文学論 12* 「源氏物語「桐壷」の別本諸本の位相ーパーソナル・データベースを活用した研究の実践例としてー」 単著 昭和61・ 3 『大正叢記 創刊号』大阪府立大正高校 『源氏物語受容論序説』所収 本稿は、天理図書館所蔵麦生本「桐壷」に書き込まれている本文異同の注記から、別本諸本の異文の位相に関する基礎的な調査と見通しを述べたものである。麦生本と河内本、陽明文庫本と国冬本、そして新資料・阿里莫本などの本文の位相から、青表紙本・河内本・別本の各相を探求した。
B-日本文学論 13* 「帚木における一異文の再検討ー別本国冬本の表現相の定位をめざしてー」 単著 昭和62・ 7 『源氏物語の探究 第12輯』風間書房 『源氏物語受容論序説』所収 現在流布する源氏物語のテキストの中から、「帚木」における校訂本文の見直しをすると、さまざまな問題点が浮き彫りになる。諸伝本間の異同や古注釈書が示す解釈を通して、別本国冬本が伝える本文は、青表紙本・河内本以前に存在した物語本文を伝承している可能性の強いことを、実証しようとしたものである。        
B-日本文学論 14 「『和泉式部日記』データベース化の問題点ー現代版〈異本・異文〉の発生についてー」 単著 昭和63・ 6 『人文科学データベース研究 創刊号』同朋舎 『和泉式部日記』のデータベース化の過程で、影印本に印刷の不備がいくつかあることと、それに起因するところからの、読み取りミスにともなう、新しい異文の発生の可能性を痛感した。本稿では、作品本文の正確なデータベースを構築していくための、いくつかの問題点とその解決の見通しを考察する。
B-日本文学論 15* 「澪標巻の別本ー東大本を中心にしてー」 単著 平成 2・ 5 『源氏物語小研究 創刊号』 源氏物語別本集成刊行会 東京大学付属図書館所蔵の源氏物語のうち、別本とすべきものの概要と、「澪標」の本文異同の傾向をまとめたもの。これまでは、「澪標」には別本としての資料がなかった。未整理のままであった別本研究が進捗するとともに、新たな作品の読みも深められていく可能性がでてきた。
B-日本文学論 16* 「三矢重松の源氏物語研究」 単著 平成 2・10 『源氏物語受容論序説』所収 桜楓社 明治から大正にかけて、源氏物語の普及と研究に残した三矢の足跡を再確認する。源氏物語を文学として再評価し、その具体的な行動が、源氏物語全講会であった。大正時代の社会的な時勢・時局が影を落とす中で、文化遺産としての源氏物語を国民が共有する方向で示した三矢の指導力は、高く評価されよう。
B-日本文学論 17 「古写本の画像データベースー『蜻蛉日記』の場合ー」 単著 平成 2・11 『人文科学データベース研究 第6号』同朋舎 日本古典文学作品の本文のデータベース化の次は、古写本の墨の文字(変体仮名)をイメージ通りにデータベース化することである。古来、書写の転訛が複雑で、推定本文の案がさまざまに提出されている『蜻蛉日記』を取り上げ、本文と画像を同時に扱えるデータベースの私案をまとめたものである。
B-日本文学論 18* 「新資料・伝阿仏尼筆本「桐壷」の位相ー室伏校合本の検討を通してー」 単著 平成 3・12 『大阪明浄女子短期大学紀要 第六号』、『源氏物語本文の研究』所収 断片的にしかわからなかった伝阿仏尼筆本の本文が、「桐壷」だけではあるが、室伏信助氏の校合本の出現によって、その全文が読めるようになった。新資料本文のデータベース化と詳細な検討によって、その本文は陽明文庫本に近似するものであることが明らかになった。今後の別本研究の基礎資料となるもの。
B-日本文学論 19 「源氏物語の情報処理ーパーソナル・データベースの視点からー」 単著 平成 4・ 1 『源氏物語講座 第九巻』勉誠社 源氏物語の近代の享受というテーマのもとに、源氏物語でコンピュータを活用した研究の現状と今後の展望をまとめた。源氏物語のデータベース化は、まだまだ試行錯誤の段階である。研究の原点である本文の整理のためにも、データベースの作成が緊急を要する問題であることと、将来の見通しを述べる。
B-日本文学論 20 「『桐壷』における別本諸本の相関関係」 単著 平成 4・ 5 『源氏物語研究 第二号』源氏物語別本集成刊行会 『源氏物語』の別本に関する研究はあまり進展していない。本稿は「桐壷」巻に限定して、別本を中心とした諸本の相関関係を見ることによってその位相を明らかにしようとしたものである。伝阿仏尼筆本・伝慈鎮筆本・従一位麗子本など、従来あまり知られていなかった本文も取り上げてみた。結果として、それぞれの本文の位相を二次元のグラフ上の点として示した。     
B-日本文学論 21* 「桐壷巻における別本群の位相ー桐壷帝の描写を中心にしてー」 単著 平成 4・11 『中古文学 第五十号』中古文学会、『源氏物語本文の研究』所収 『源氏物語』は、いわゆる青表紙本で読まれ、そして研究されているが、依然としてその本文批判は不徹底のままである。本稿では「桐壷」巻に関する新資料である〈伝阿仏尼筆本〉と〈伝慈鎮筆本〉の二本を加えて、異本・異文の世界を探究していく。「桐壷」巻における別本群の位相の定位と、その読みの試行錯誤を通して、別本理解の手がかりの一つを得ようとするものである。
B-日本文学論 22* 「「桐壷」の第二次的本文資料集成ー伝阿仏尼筆本・伝慈鎮筆本・従一位麗子本・源氏釈抄出本ー」 単著 平成 5.10 『源氏物語研究 第三号』源氏物語別本集成刊行会、『源氏物語本文の研究』所収 『源氏物語別本集成第一巻』(平成元)所収の「桐壷」〈校異編〉の〈参考資料版〉として作成した。ここで取り上げる本文資料は、いわゆる第二次的な性格のものである。しかし、本文研究史上その価値を再評価すべきものとして、あえて『源氏物語別本集成』の底本でもある陽明文庫本と対校してみた。いわば、暫定的な補訂版である。対校方針および異文掲示の手法は、『源氏物語別本集成』と全く同じである。
B-日本文学論 23 「伝『探幽筆三拾六哥仙』の画像データベース化と原本復元」 単著 平成 5.11 『情報処理学会研究報告』Vol.93,No.10593-C平成-20  情報処理学会 平成5年春にパリで見つけた冊子本『探幽筆三拾六哥仙』は、もとは巻子本であったことや、各絵の配列順を復元する。文学研究と画像データベースの現況を確認した後、小野小町と在原業平について、画中に書き込まれた着色の指示をもとにして、コンピュータグラフィックを活用した彩色復元も試みる。
B-日本文学論 24 「小野小町データベース〈図像編〉私案」 単著 平成 6. 1 『人文学と情報処理 第3号』勉誠社 小野小町に関する資料をデータベース化するにあたって、その構想とデータベース化の手法の一端をまとめた。〈和歌編〉〈伝承編〉〈図像編〉〈受容編〉のうちの〈図像編〉を取り上げ、画像データベース構築上のさまざまな問題点やテクニックを、実際に作成している具体的な作業手順を提示しながら述べる。
B-日本文学論 25 「八人会蔵『探幽筆三拾六哥仙』について」 単著 平成 6. 3 『大阪明浄女子短期大学紀要 第八号』 明浄短大の海外研修旅行の途次、パリの古書店で見つけた『探幽筆三拾六哥仙』について、その歌仙絵の研究資料としての原形態と、その制作過程を考察するものである。本絵巻は、保存・備忘・研究のための模本ではなく、実際に利用・活用された紛本である形跡が多々認められる、貴重な資料であることがわかった。ただし、本模本をもとにして描かれた一式の歌仙絵は、現在のところは確認できていない。
B-日本文学論 26 「源氏物語字母考ー玉鬘十帖の「けしき」と「けはひ」ー」 単著 平成 6.10 『源氏物語研究 第四号』源氏物語別本集成刊行会 源氏物語諸本の写本に表記されている「けしき」と「けはひ」は、字母レベルでの異同傾向に特色がある。本稿では、「玉鬘」から「真木柱」までの〈玉鬘十帖〉における字母表記の実態を分析するものである。今後の他作品の調査検討を経ることによって、書写された時代の書き癖や用字法がしだいに明らかになると思う。
B-日本文学論 27 「画像としての小野小町」 単著 平成 7. 1 『パソコン国語国文学』(啓文社)所収 コンピュータを活用した文学研究も、文字だけであったモノメディアから画像音声を取り込んだマルチメディアの時代となった。本稿は、小野小町の画像を扱いながら、今後の文学研究における研究方法の展望と可能性について、画像の電子化を通して具体的に私見を述べるものである。
B-日本文学論 28 「源氏物語電子資料館の構想」 単著 平成 8・3 『大阪明浄女子短期大学紀要 第十号』 〈源氏物語電子資料館〉は、パーソナル・データベースの資料的な質の向上において、有益な各種情報を提供することを目指して構築されている。つまり、〈『源氏物語』に関する映像・音声・文字によるデータを、書斎のパソコンで取り扱えるようにした情報群の窓口〉としての役割を果たすものである。『源氏物語』を読解するための情報の整理を、現時点で私案として提示したものである。
B-日本文学論 29 「源氏絵と物語本文のデータベース化ー展望と課題ー」 単著 平成 8・3 『王朝文学史稿 第二十一号 小林茂美博士古稀記念 特輯 王朝文学研究の現在』 絵巻などの画像資料には、質の高い情報を読み取ることができる。本稿では、受容資料である物語絵と物語本文のデータベース化にあたっての実例を提示し、あわせて問題点・展望・課題をまとめた。私案としての構想は、あくまでもパーソナルなデータベースの実現である。個々の作品理解を深めることを目指した、新たな環境作りのための提言をするものである。
B-日本文学論 30 「別本群の中の保坂本と東大本ー澪標の場合ー」(web稿) 単著 平成8・10 〈源氏物語電子資料館〉 いわゆる別本とされる『源氏物語』の本文を持つ巻を含む写本群が、いくつか確認されている。東京国立博物館現蔵(保坂潤治旧蔵)の保坂本と東京大学附属図書館(青州文庫)所蔵の東大本は、その中でも調査が遅れているものである。本草稿は、1)保坂本と東大本はほぼ同一の本文を持つこと、2)両本の異同箇所のほとんどは付属語に関するものであること、3)東大本の傍記のほとんどは保坂本と同類の本文で校訂したものであること、などを検証するものである。
B-日本文学論 31* 「「澪標」における河内本本文の性格ー朱雀帝の描写を中心にしてー」 単著 平成10・3 『本文研究 第二集』(和泉書院)所収、『源氏物語本文の研究』所収 青表紙本とは何かが改めて問われる今、大島本一辺倒の『源氏物語』受容に留まることなく、より多様な物語受容を試みるにあたって、「澪標」における河内本の表現世界とその位相を確認するものである。本稿では、「澪標」の朱雀帝の描写場面を中心にして、その本文異同から河内本の本文の実態を検討したものである。校訂結果よりも、校訂過程を意識して物語本文を読むことを心がけたものである。
B-日本文学論 32* 「国冬本「若紫」における独自異文の考察ーいわゆる青表紙本に内在する異本・異文についてー」 単著 平成11・3 『大阪明浄女子短期大学紀要 第13号』、『源氏物語本文の研究』所収 天理図書館現蔵「国冬本」の「若紫」には、その後半部分に注目すべき独自異文が混入している。本稿は、いわゆる青表紙本と呼ばれている本文にも、このように異質な本文が混入していることの確認を通して、諸写本に伝えられている異文の読み直しと、流布本本文のありようを再点検する手だてを得ようとするものである。
B-日本文学論 33* 「古写本における重複書写丁についてー天理図書館蔵阿里莫本「藤裏葉」の場合ー」 単著 平成11・10 『研究報告集 第36集』(大阪私立短期大学協会)、『源氏物語本文の研究』所収 天理図書館蔵(阿里莫神社旧蔵)『源氏物語』(通称阿里莫本)「藤裏葉」の第一八丁と第一九丁には、まったく同じ文章が表裏に書写されている。これまでに指摘を見ないことであり、この「藤裏葉」における次の問題について考察した。〈書写された状況は。異同の実体は。字母の変化は。墨継ぎはどこで。書写態度について。〉 本稿は、従来その素性が不明であった阿里莫本について、その親本との関係や本文の信頼性も含めて考察したものである。
B-日本文学論 34* 「別本本文の意義ー「澪標」における別本群と河内群ー」 単著 平成12・5 『源氏物語研究集成13巻』(風間書房)所収、『源氏物語本文の研究』所収 従来の本文研究史を整理した後、別本とされる本文群が持つ意義について考察する。特に、「澪標」諸伝本の位相と性格を具体的に検討する。青表紙大島本一辺倒の受容ではなく、特異な本文を伝える伝本群の位相を確認することは、依然として遅れている源氏物語の本文研究において最重要課題である。本稿では、五群に分けた本文関係図を提示している。
B-日本文学論 35 「『源氏物語』「鈴虫」の本文異同を古典語彙のシソーラスから読む」 共著 平成12・12 (伊藤鉄也・大内英範)『人文科学とコンピュータシンポジウム 論文集』(情報処理学会)所収 本考察の眼目は、『源氏物語』の各写本の位相を本文異同から見る点にある。諸本間の本文の違いから、その質的な差異にまで言及していく。「鈴虫」巻に関しては、すでに、30種にのぼる写本・版本の本文のデータベース化が終了した。次の段階として、単に文字表記の違いによるだけではなく、内容に踏み込んで多くの要素の異同を見ることによって、写本・版本間の本文の特性の違いをみていきたい。
B-日本文学論 36* 「源氏物語古写本における傍記異文の本行本文化についてー天理図書館蔵麦生本「若紫」の場合ー」 単著 平成13・1 『古代中世文学研究』(和泉書院)、『源氏物語本文の研究』所収 麦生本「若紫」において、傍記異文が本行の本文として取り込まれて書写されている実態の確認を通して、その本文の位相に関して次の点を検証する。麦生本の傍記異文および本行に取り込まれた異文は河内本の類の本文であること、麦生本の傍記が混入するのは該当箇所の本行本文の直前であること、麦生本と阿里莫本は書写原本を共に忠実に写し取っていること、などを検証した。
B-日本文学論 37* 「源氏物語別本群の長文異同ー国冬本「鈴虫」の場合ー」 単著 平成13・3 『国文学研究資料館紀要 第27号』、『源氏物語本文の研究』所収 『源氏物語』の本文について、これまでに〈河内本群〉〈別本群〉という二群の分別試案を見通しとして得ている。そのような視点から、本稿ではこれまでに指摘を見ない国冬本「鈴虫」の長文異同について考察を加える。本文異同の集積から見えてくる全体像は、まだまだ解明されていない。伝流する諸本の本文を徹底的に検証することは、文学研究の基盤整備として、早急に着手しなければならないことである。
B-日本文学論 38* 「幻巻における〈河内本群〉と〈別本群〉の表現世界ー和歌の前後の異文を中心としてー」 共著 平成13・5 『本文研究 第四集』(和泉書院)所収、『源氏物語本文の研究』所収 「幻」における11種類の本文の校合結果から、諸伝本の相関関係とその表現世界を確認する。「幻」は〈河内本群〉と〈別本群〉の二グループに分別できる。その二群の中間に位置する陽明本も、〈別本群〉に定位すべきものである。〈別本群〉は顕著な本文異同を見せ、独自の表現世界を形成している。異なる本文を伝える写本を読み解く中で、『源氏物語』の諸問題を考える。
B-日本文学論 39 「蜻蛉巻の本文ー陽明本の書写態度と不伝の校合本文ー」 単著 平成15・4 『国文学「解釈と鑑賞」別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 No.28 蜻蛉』(至文堂)所収 「蜻蛉」における陽明文庫本は、特異な本文を伝える写本である。本稿は、陽明本の補正・傍記・傍注からうかがえる伝本の実態を、書写過程を追うことによって考察するものである。詳細な本文異同の検討によって、陽明本が親本を忠実に書写しようとしたものであることが検証できた。陽明本の独自性は、親本を引き継ぐことによって保持するものであった。また、陽明本の傍記傍注で指摘された語句は、その多くが現在確認し得た伝本にはないものであったことも、以上の検討の中で明らかになった。別の本文異同を見せる陽明本に近似する「蜻蛉」の写本が、まだ存在しているということである。
B-日本文学論 40 「源氏物語の諸本 別本について」 単著 平成15・5 『国文学「解釈と鑑賞」別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 No.29 花散里』(至文堂)所収 『源氏物語』の本文に関する特集の一章をなすものである。本稿では、別本についてのこれまでの成果を整理し、本文内容を〈群〉と捉えて再出発すべき時であることを提唱する。そして、書写時の恣意的な改変などが確認できないことを通して、写本書写の実態を示した。具体例としての「花散里」においては、25種類の写本の本文異同を新たなグラフ化することによって、その異同相を視覚的に提示している。
B-日本文学論 41 「源氏物語の本文研究に関する諸問題」 単著 平成16・3 『日本古典文学史の課題と方法』(和泉書院)所収 源氏物語の本文研究に関する諸問題について、その課題と研究方法を論じたものである。まず、研究テーマに沿った回顧とこれまでの課題を通して、問題点の所在とその対処に関する研究史をまとめた。続いて、方法の模索として、本文研究の現状と本文分別に関する私案の提示をし、今後の展望に及ぶ。そして、課題の中から蜻蛉巻における一考察を展開する。陽明本は改変の手が入ったために生まれた異文を伝えているものではない、ということを確認するものである。最後に、従来の大島本一辺倒の『源氏物語』の受容から脱する必要性を訴え、二一世紀の『源氏物語』の研究は、大島本以外に、陽明本や保坂本なども読まれる時代になるという展望を示した。
B-日本文学論 42 「蜻蛉巻における陽明本と保坂本の独自異文」 単著 平成16・5 『本文研究 第六集』(和泉書院)所収 本稿は、拙稿「蜻蛉巻の本文陽明本の書写態度と不伝の校合本文」での検討を承けたものである。本稿では、陽明本と近似する傾向にある保坂本をも視野に入れて、一〇文字以上の字句の有無を中心とした独自異文について検討する。陽明本と保坂本が共に長文の補入を持っていたということは、陽明本と同じ傾向の本文がまだ他にもあったことを示している。また、陽明本が書写後の校合を経ても大きな修正がなかったと思われることから、陽明本が伝える本文は、書写者が勝手に削除改変した本文だとは言えないことも確認できた。さらに、陽明本と保坂本の近似性の一端が伺われる例がいくつも確認できた。
C-教育論            
C-教育論 1 「これが現代教師の知的ワークステーション」 単著 昭和62・12 『高校教育展望』小学館 高等学校における国語科教員の教育環境の実態を踏まえて、コンピュータを活用した近未来の職員室の環境や、近未来の自宅書斎の環境について、図説したものである。
C-教育論 2 「源氏物語指導と研究ー夕顔・若紫・橋姫ー」 単著 昭和59・ 3 『大鏡・枕草子・源氏物語』清水書院 高等学校用古典古文教科書の教師用指導書として執筆した。従来の指導書との違いは、掲載作品本文の批評を、各種の異本の異文を通して説明したこと。物語がどのようにして今に伝えられて来たかが、興味深く理解できるように配慮した。また、文芸作品が一般読者に文学として受容されることの意味にも言及。
C-教育論 3 「国語科指導例ーパソコンワープロによる作文ー」 単著 昭和60・ 7 『府立高等学校におけるパーソナルコンピュータの使用事例集』大阪府教育委員会 活用例が皆無に近い高校の国語科におけるCAI教育の実践例を、大阪府でも最初にパーソナル・コンピュータを導入した学校の指導事例としてまとめたものである。特に、<かな漢字>というものに対する新しい視点と、作文ぎらいの克服への過程およびその成果について述べてみた。
C-教育論 4 「ワープロを活用した高校卒業記念文集ー指導困難校での国語教育の実践報告ー」 単著 昭和63・ 3 『コンピュータの教育利用事例集 第二集』CEC・コンピュータ教育開発センター 勉強と作文が大の苦手という生徒たちと、卒業記念の文集を作成した。本稿は、その教育実践の報告書である。国語教育の中に、パソコンという新しい教育文具を活用した斬新な体験学習を試みた。今後の国語教育のありかたを模索しながら、その留意点や課題をまとめたものである。
C-教育論 5 「データベースを活用した国語教育」 単著 平成元・ 2 『国語教師のパソコン』(エデュカ)所収 パソコンを活用した国語教育の可能性について論じた。まず、学校で望まれるデータベース。その中でも、作品本文のデータベースの必要性を確認し、それを活用した発見の学習の実際を例示する。具体例としては、『サラダ記念日』のデータベース化の手順を示しながら、短歌を分析的に学習する手法の一部をあげた。
C-教育論 6 「国語教師と電子文具」 単著 平成元・ 2 『国語教師のパソコン』(エデュカ)所収 現在の国語教師のコンピュータとの関わりの現状を、高校の国語科教員に対して私が行なったアンケート処理をもとにして考察した。学校における全国のパソコンの現状の分析と共に、これからの国語教師が電子文具とどのようにうまくつきあっていくかを、問題提起したものである。
C-教育論 7 「データベース発想の現代国語の授業ー『山月記』を例にしてー」 単著 平成 3・ 3 『研究紀要 第二号』大阪府立盾津高等学校 平成元年度に、高校二年次の国語科の授業で、パソコンを活用した取り組みの実践報告と問題点をまとめたものである。『山月記』を例にして、データベースを導入した授業の意義とその成果を、授業展開に即して詳細に述べている。写真・スライド資料もデータベース化した。
C-教育論 8 「文学教育と情報処理教育の接点ーパーソナル・データベースと電子文庫の作成を通してー」 単著 平成 5・ 3 『大阪明浄女子短期大学紀要 第七号』 短期大学で文学関連の授業において実施した、情報処理教育を視野に入れた文学教育の実践報告である。大学としての新しい教育体制に向けての機器導入などの経過を踏まえて、コンピュータを活用した授業の実際を具体的にまとめている。なお授業で使用したデータ検索表示用プログラム〈プロムナード〉は、平成4年度文部省科学研究費補助金一般研究(C)による成果の一部である。
C-教育論 9 「コンピュータで読む源氏物語ー今いちばん新しい読み方ー」 単著 平成8・9 『シンポジウム「人文科学とコンピュータ」』 読書の形態が多様化してきた。従来の印刷された文字を読むものに加えて、デジタルテキストをディスプレイで読む方式が提示された。絵や音と共に、物語の中の仮想空間を歩けるようにもなった。このような時代の趨勢を踏まえて、私が独自に開発している小道具をも紹介しながら、今後の読書の可能性とそのあり方を考える。
C-教育論 10 「CD-ROMで『源氏物語』を読む」 単著 平成11・2 『国語科通信 104号』角川書店 『CDーROM 古典大観 源氏物語』(伊井春樹監修、1999、角川書店)は、教育現場と研究者を強く意識したものである。その特色などについて、A|信頼できる校訂本文、B|四種類の翻刻本文、C|大島本のカラー影印画像の表示、D|文法情報・語句の読み・感情色彩語彙、E|登場人物と地名地図の情報、F|『新編国歌大観』と引歌、G|事項索引としての総合事典について詳述したものである。
D-紹介・評論            
D-紹介・評論 1 「書評『説経集』ー親切なテキストの提供ー」 単著 昭和52・ 6 『常民研究 第4号』常民研究会 一般読書人向けとして刊行されるテキストのあり方について、日本文芸の受容史という側面から評論したものである。本文や注釈、およびその補完関係のあり方について、具体的な例示をしながら論じた。
D-紹介・評論 2 「源氏物語とコンピュータ」 単著 昭和63・10 『CRCコミュニケーション No.342』所収 理科系の企業誌へ寄稿したものである。『源氏物語』という文学作品をコンピュータを活用して研究する上で、本文研究に応用した場合を例として、その研究手法について紹介したものである。
D-紹介・評論 3 「古典文学をパソコンで読む」 単著 平成2・1 大阪府立盾津高等学校PTA広報第33号 拙著『データベース・平安朝 日記文学資料集 第一巻 和泉式部日記』(同朋舎刊)の紹介とその意義を通して、これから文学を読んでいく上で有効な、パソコンを活用した手法を述べたものである。
D-紹介・評論 4 「日本文学研究者から世界へ向けて情報発信 〜源氏物語とインターネット〜」 単著 平成8・3 『CRCコミュニケーション No.342』所収 国際企業の広報誌に掲載されたものである。インターネット上に、ウエブサイトとしての〈源氏物語電子資料館〉を開設し、『源氏物語』の本文を中心とする情報を発信することになった意義を述べた。文学に関する基本的な情報の共有化を目指して構築したものの紹介である。
D-紹介・評論 5 劇評「スーパーミュージカル『源氏物語』」 単著 平成8・11 〈源氏物語電子資料館〉 平成8年夏より全国公演のこのミュージカルの内、大和高田市文化会館さざんかホールで行われたものを取り上げた。内容に沿って、私なりに本和物ミュージカルの批評を加え、演出を中心に私見を述べた。光源氏役は松村雄基、六条御息所を今陽子が演じた。総合評価は、中の上というところか。
D-紹介・評論 6 「ホームページ〈源氏物語電子資料館〉への招待」 単著 平成9・4 『源氏研究 第2号』翰林書房 インターネットの上で展開している『源氏物語』の情報発信基地である〈源氏物語電子資料館〉についての紹介文である。『源氏物語』受容の新しい方向や、〈源氏物語電子資料館〉の構成と今後の展望について述べたものである。
D-紹介・評論 7 「源氏物語研究とニューメディアとの接点」 単著 平成12・4 『源氏研究 第5号』翰林書房 平成11年度国文学研究資料館主催の「シンポジウム コンピュータ国文学」は、『源氏物語』の特集であった。平成11年は、〈日本古典文学本文データベース(実験版)〉がインターネット上に公開され、『源氏物語』のCDーROMが三種類も刊行されるという、まさに『源氏物語』にとってのニューメディア元年である。源氏物語研究における本文の重要性とその読みの一端を、諸先生に語っていただいた報告である。
D-紹介・評論 8 「メディア時評 日本古典文学本文データベースの現状と今後」 単著 平成12・5 『文学 第1巻3号』岩波書店 電子化された旧大系本の現状と今後について考えたものである。国文学研究資料館より〈日本古典文学本文データベース(実験版)〉という名称で情報発信されているものの利用状況を、実験公開からちょうど一年が経過した時点でまとめた。文化遺産としての大系本の今後については、〈傍注〉〈頭注〉〈補注〉〈校異〉〈図版〉〈系図〉〈解説〉などを追補することを提案している。
D-紹介・評論 9 「新刊紹介『電脳国文学ーインターネットで広がる古典の世界ー』」 単著 平成13・4 『解釈と鑑賞 66-4』至文堂 CDーROM付きの『電脳国文学』(漢字文献情報処理研究会編、平成十二年十月刊、好文出版)は、すぐに活用できる有益な情報が詰め込まれている。リンク集は特に便利である。また、万葉集や源氏物語から近代文学作品の本文データを、合計750タイトル以上も収録している。まさに、これからの文学研究に即応した内容である。高校の国語の先生が教材作成で、大学のゼミの演習で、レポートや論文作成にと、幅広い用途と利用者を想定した入門書となっている。
D-紹介・評論 10 「蜻蛉への招待 ー巧みな物語展開と描写ー」 単著 平成15・4 『国文学「解釈と鑑賞」別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 No.28 蜻蛉』(至文堂)所収 『源氏物語』の蜻蛉巻を読むにあたって、その道案内とすべく著書の巻頭に置いたものである。「あるかなきかの蜻蛉・生き生きとした脇役たち・視覚と触覚・すきばみたる気色と物語絵」の四項目にわたって、『源氏物語』を読むのが初心者にもわかりやすいように、この巻のポイントを押さえて述べている。
D-紹介・評論 11 「源氏ゆかりの地を訪ねてー石山寺散策ばー」 単著 平成15・4 『国文学「解釈と鑑賞」別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 No.28 蜻蛉』(至文堂)所収 『源氏物語』の蜻蛉巻のみならず、作品全体を理解するのに役立つように、物語の舞台となっている石山寺の文学散歩を記したものである。写真を多用し、古代から現代への時間の流れを意識して解説することを心がけた。ただし、『源氏物語』の作者を紫式部に特定しないで認めている点が、従来の石山寺の説明と異にするところとなっている。
D-紹介・評論 12 『国文学「解釈と鑑賞」別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 No.33 薄雲・朝顔』 単著 平成16・4 至文堂 鑑賞欄と基本用語(27〜81頁)を担当執筆した。『源氏物語』の薄雲巻を、高校生から社会人までを対象にして、物語本文に即して丁寧に読み解きながら、鑑賞するにあたって手引きとなるように解説したものである。図版などを多用している。
D-紹介・評論 13 群書類従のデータベース化について 単著 平成17・1 『2003年度総合研究大学院大学共同研究プロジェクト「文化科学研究分野における情報資源共有化のためのコラボレーション研究」第1回研究集会報告書(安永尚志) 平成16年1月におこなった、「文化科学研究分野における情報資源共有化のためのコラボレーション研究」(於・総合研究大学院大学・湘南国際村)における研究課題に関して、その報告をまとめたものである。。『群書類従』をデジタル化するにあたっての問題点を整理し、その対処方法を具体的にあげ、文学研究におけるデータベースのありようについて、その求められる姿を提示している。
D-紹介・評論 14 「トルコにおける日本文学研究について」 単著 平成17・3 『2004年度研究成果報告書 国際コラボレーションによる日本文学研究資料情報の組織化と発信』(国文学研究資料館・安永尚志) 日本の国外において、日本文学がどこで、どのように研究され、その成果がどこに、どのような形で公開されているのか、という情報は、容易に知ることができないのが実情である。そこで、研究者との情報交換を密にするための方策を求める意味もあり、可能な限り自ら足を運んで海外へ出かけるようにしている。そのトルコにおける報告である。第2回トルコ日本語教師会事務局が編集した冊子(国際交流基金「平成15年度海外日本語教育ネットワーク形成助成」の援助を受けて刊行)を紹介する。
D-紹介・評論 15 日本文学研究の情報・資料をウエブで共有する 平成17・8 『日語日文學研究 第54輯2巻〔日本文学・日本学篇〕』韓国日語日文学会 「情報化時代における海外での日本研究」をメインテーマとする国際会議での発表を、学会誌にまとめたものである。(1)海外調査研究の概要、(2)情報の共有(オンライン)、(3)今後の交流(オフライン)、の3点をポイントとしたものである。海外調査とデータベース化に関する具体例を多くあげることに留意している。
E-その他の論            
E-その他の論 1 「機業ー福生の民具を通してー」 単著 昭和55・ 3 『福生市文化財総合調査報告 第12集福生の民俗・生業諸業』福生市教育委員会 福生市教育委員会の委託を受けて行なった、民俗調査にもとづいてまとめたものである。民具としての機(ハタ)を取りあげ、その歴史的な位置づけと、当該地における実情を、モノを通して論じた。聞き書きをもとに構成したものであり、特にライフヒストリーの部分のまとめ方には、新たな視点を導入した。
E-その他の論 2 「データベースの可能性ー画像のデータベース化ー」 単著 昭和63・11 『人文科学データベース研究 第2号』同朋舎 情報処理機器としてのパソコンの性能の進歩によって、画像の処理速度の向上は目覚ましいものがある。本稿は、この過渡期という現状を踏まえて、これからこうした分野にチャレンジしようという人のために、概論としての画像データベースの解説を、具体例をもとに述べたものである。
E-その他の論 3 「画像データベース入門ー私家版「墨跡切貼帳」ー」 単著 平成元・11 『人文科学データベース研究 第4号』同朋舎 古典文学作品の古写本を紙焼写真や影印本などで読んでいると、いろいろな問題箇所に出会う。そんなときに、その部分を画像情報として電子ファイリングするための手法を、入門者向けに実例をあげて解説した。具体例として、源氏物語の陽明文庫本の虫損箇所を取り上げている。
F-随筆            
F-随筆 1 「内野先生からの手紙」 共著 昭和59・1 『古稀の横顔|内野吾郎素描集』(私家版) 大学院時代の恩師内野吾郎先生の古稀を祝って、教え子たちで編集刊行したものに収載。父の川柳句集を出版して献本したお礼状が、父の通夜の日に届いた。その文面を引いて、恩師の素顔を認めたものである。
F-随筆 2 「創刊号『志能風草』の装釘」 単著 昭和60・2 『志能風草 第10号』國學院大學王朝文学研究会 王朝文学研究会の機関誌『志能風草』が第10号を迎えたのを記念して、創刊号作成を担当した責任者として、当時の製作にまつわることを認めたものである。特にその装釘には凝ったために、その点を担当者の視点で記した。
F-随筆 3 「茂美節の録音テープあります」 共著 昭和60・11 『二十年の歩み』國學院大學王朝文学研究会 大学学部生時代の恩師小林茂美先生が主催された王朝文学研究会の設立二十周年を記念して編集刊行したものに収載したものである。恩師の講義をカセットテープに録音しており、その全78本の収録年月日・録音場所・題目・内容を一覧できるようにした資料を付した。
F-随筆 4 「研究方法の模索」 共著 昭和61・11 『うつし世の縁 ー内野吾郎先生追悼文集ー』(私家版) 大学院における恩師内野吾郎先生を追悼して編集刊行したものに収載したものである。私が文献学的・実証的な研究法を身につけるに当たっての経緯を記し、当時はまだ一般的ではなかった、コンピュータを活用した文学研究の可能性についてふれたものである。
F-随筆 5 「源氏物語古写本における異本間の位相に関する研究」 単著 平成11・3 『じんもんこん』総合研究大学院大学 『じんもんこん 文部省科学研究費補助金特定領域「人文科学とコンピュータ 研究情報誌 第8号』に掲載。『文部省科学研究費補助金1998年度研究成果報告書特定領域研究「人文科学とコンピューターコンピュータ支援による人文科学研究の推進ー」』に盛り込めなかったことをまとめたものである。
G-資料紹介            
G-資料紹介 1 「国冬本源氏物語1(翻刻 桐壷・帚木・空蝉)」 共著 平成 8・7 『本文研究 第一集』(和泉書院)所収 天理図書館現蔵の国冬本源氏物語は、『源氏物語絵巻詞書』にもっとも近い本文を有する写本として知られている。鎌倉時代末期書写の12冊をはじめとして、その本文の重要性は指摘されていながら、これまで正確な翻刻はなかった。今回、天理図書館司書の岡嶌偉久子氏の協力を得て、原本に忠実な翻刻を連載することになった。
G-資料紹介 2 「国冬本源氏物語2(翻刻 夕顔・若紫・末摘花)」 共著 平成10・3 『本文研究 第二集』(和泉書院)所収
天理図書館現蔵の国冬本源氏物語の正確な翻刻の第二回目である。本集では、夕顔・若紫・末摘花の三巻を収録した。国冬本は、鎌倉時代末期書写の12冊をはじめとして、その本文の重要性は指摘されていながら、これまで正確な翻刻はなかった。今回、天理図書館司書の岡嶌偉久子氏の協力を得て、原本に忠実な翻刻をおこなったものである。
G-資料紹介 3 「国冬本源氏物語3(翻刻 紅葉賀・花宴・葵)」 共著 平成12・8 『本文研究 第三集』(和泉書院)所収
天理図書館現蔵の国冬本源氏物語の正確な翻刻の第三回目である。本集では、紅葉賀・花宴・葵の三巻を収録した。国冬本は、鎌倉時代末期書写の12冊をはじめとして、その本文の重要性は指摘されていながら、これまで正確な翻刻はなかった。今回、天理図書館司書の岡嶌偉久子氏の協力を得て、原本に忠実な翻刻をおこなったものである。
G-資料紹介 4 「国冬本源氏物語4(翻刻 賢木・花散里・須磨・明石)」 共著 平成13・5 『本文研究 第四集』(和泉書院)所収
天理図書館現蔵の国冬本源氏物語の正確な翻刻の第四回目である。本集では、賢木・花散里・須磨・明石の四巻を収録した。国冬本は、鎌倉時代末期書写の12冊をはじめとして、その本文の重要性は指摘されていながら、これまで正確な翻刻はなかった。今回、天理図書館司書の岡嶌偉久子氏の協力を得て、原本に忠実な翻刻をおこなったものである。
G-資料紹介 5 「国冬本源氏物語5(翻刻 澪標・蓬生・関屋・絵合・松風・薄雲)」 共著 平成14・6 『本文研究 第五集』(和泉書院)所収
天理図書館現蔵の国冬本源氏物語の正確な翻刻の第五回目である。本集では、澪標・蓬生・関屋・絵合・松風・薄雲の六巻を収録した。国冬本は、鎌倉時代末期書写の12冊をはじめとして、その本文の重要性は指摘されていながら、これまで正確な翻刻はなかった。今回、天理図書館司書の岡嶌偉久子氏の協力を得て、原本に忠実な翻刻をおこなったものである。
G-資料紹介 6 「新収資料紹介49  源氏物語 江戸初期写五十四帖」 単著 平成14・9 『国文学研究資料館報 第59号』所収 国文学研究資料館に新たに収蔵された古写本を紹介する。本書の書写時期は近世初期と思われる。本書には奥書が存し、第一巻「桐壷」から第七巻「紅葉賀」の各巻末に書写されている。嘉吉年間の正徹の奥書であり、それによると、冷泉為相から正徹へという、室町時代における『源氏物語』の伝来が読みとれる。正徹本から見た『源氏物語』の受容史が伺える奥書を有する写本である点からも、本書は貴重な資料だといえよう。
G-資料紹介 7 「国冬本源氏物語6(翻刻 朝顔・少女・玉鬘・初音・胡蝶)」 共著 平成16・5 『本文研究 第六集』(和泉書院)所収 天理図書館現蔵の国冬本源氏物語の正確な翻刻の第五回目である。本集では、朝顔・少女・玉鬘・初音・胡蝶の五巻を収録した。国冬本は、鎌倉時代末期書写の12冊をはじめとして、その本文の重要性は指摘されていながら、これまで正確な翻刻はなかった。今回、天理図書館司書の岡嶌偉久子氏の協力を得て、原本に忠実な翻刻をおこなったものである。
H-口頭発表・講演            
H-口頭発表・講演 1 「さくら人」の巻論の可能性   昭和51・ 6 国語国文学会 古系図や古注釈書の検討を通して、「さくら人」のありようを考察。特に、「夕顔」巻から「玉鬘」巻への接点部分に於ける人物の登場の仕方に着目して、物語の形成過程を追及した。『源氏物語受容論序説』所収(於・國學院大學)
H-口頭発表・講演 2 「さくら人」巻の様態についての一考察   昭和52・10 中古文学会 上記「さくら人の巻論の可能性」をさらに発展させ、源氏物語構想論の中の玉鬘系後記説の問題と関わらせて考察した。別稿数編に展開して『源氏物語受容論序説』所収(於・太宰府天満宮)
H-口頭発表・講演 3 源氏物語別本考ー桐壷巻の一考察ー   昭和54・ 6 国語国文学会 「桐壷」巻の一異文を通して、諸本の位相を考察したものである。『無名草子』の本文は陽明文庫本本文に近似することが明らかになった。『源氏物語受容論序説』所収(於・國學院大學)
H-口頭発表・講演 4 源氏物語別本考ー中山家本「若紫」の性格ー   昭和55・ 6 国語国文学会 これまで検討されることのなかった中山家本「若紫」巻の中の藤壷に関する描写を異文を見ながら検討することによって、異本の背景にある受容相を考察した。『源氏物語受容論序説』所収(於・國學院大學)
H-口頭発表・講演 5 別本中山家本「若紫」の検討   昭和55・ 6 国書逸文研究会 『源氏物語大成』に収録されなかった別本として、中山家本・伝阿仏尼筆本がある。これらを源氏釈抄出本文と比較検討し、別本諸本の古態を探った。『源氏物語受容論序説』所収(於・学士会館)
H-口頭発表・講演 6 『源氏物語大成』未収録の別本群   昭和59・ 6 国語国文学会 天理図書館所蔵の麦生本・阿里莫本の整理と、「薄雲」巻を例にした別本本文の異同の再確認をした。また、本文異同資料作成のための提案をする。『源氏物語受容論序説』所収(於・國學院大學)
H-口頭発表・講演 7 国語科におけるワープロを利用した文章表現の指導   昭和60・11 大阪府立高校教務研究会 パソコンの創世紀における国語教育からの実践報告。パソコンの性能よりも、それを使う側の対応の重要さを指摘。『文字表記指導事典』に「ワープロと文字表記指導の実際」として収載予定(於・大阪府立盾津高校)
H-口頭発表・講演 8 コンピュータと教育   昭和62・ 7 大阪府立高校教育研修会 学校でのパソコン利用上の諸問題を、事務・成績・分掌・教科ごとの具体例をあげて、システム化された情報の流れを提示した。『高校教育展望』(昭和62・12)に「現代教師の知的ワークステーション」として所収(於・大阪府立盾津高校)
H-口頭発表・講演 9 源氏物語とコンピュータ   昭和62・10 大阪府教育委員会国語科研修 パソコンを使うことによって、文学作品の研究にどのような可能性がひらけてくるかを、『源氏物語』を例にして報告。『高校教育展望』・『国語教師のパソコン』所収(於・大阪府科学教育センター)
H-口頭発表・講演 10 文学作品のデータベース化   昭和63・ 5 国語科研修会 『サラダ記念日』『奥の細道』『源氏物語』などを例にして、文学作品をデータベース化するにあたって開発した、各種の手法を公開した。『国語教師のパソコン』所収(於・大阪府科学教育センター)
H-口頭発表・講演 11 源氏物語別本考ー夕顔巻の別本の位相ー   平成元・ 8 日本文学データベース研究会 「夕顔」巻の陽明文庫本の描写における異本として特徴的な例をあげて、他の諸本文との位相の相違や別本固有の論理を確認することによって、そこに物語本文の古態を読み取ろうとする視点を提示した。(於・大阪大学)
H-口頭発表・講演 12 『山月記』のデータベース化   平成元・10 大阪府立学校教職研修講座 『山月記』を、パソコンを活用した授業でどのように読んだか。またその際の、作品への切り込み方を、実践を通して報告した。『研究紀要(盾津高校)』(平成3・3)所収(於・大阪府科学教育センター)
H-口頭発表・講演 13 古歌「君が代」の解釈   平成 3・ 7 大阪府立高校教育研修会 「君が代」の歌詞を、古歌としての文学史上の位置と、その正確な解釈の仕方を確認した。社会的・歴史的な視点と文学的な視点から、その解釈の歴史も跡づけた。平成3年版『ふえろう』所収(於・信貴山玉蔵院)
H-口頭発表・講演 14 新資料「伝阿仏尼筆本」の位相   平成 3・ 7 日本文学データベース研究会 室伏信助氏より貸与された資料をもとに、これまで断片的にしか分からなかった伝阿仏尼筆本の本文の位相を、「桐壷」巻に限って詳細に検討した。陽明文庫本を支持する本文であることが分かった。(於・大阪大学)
H-口頭発表・講演 15 「桐壷」における別本群の位相と相関関係   平成 4・ 3 日本文学データベース研究会 伝阿仏尼筆本に加えて、新たに室伏信助氏より貸与された新資料・伝慈鎮筆本の調査結果は、国冬本に近いものであった。「絵に描ける楊貴妃」の段の本文異同などを踏まえて、陽明本をはじめとするこれらの別本とされる諸本は、平安朝に遡する可能性を秘めたものであることを報告した。(於・大阪大学)
H-口頭発表・講演 16 「桐壷」における別本群の位相   平成 4・ 5 中古文学会春季大会 「桐壷」の別本を主とした本文異同を詳細に調査したところ、その違いは約二割であることがわかった。このほぼ二割の重みを持つ異本・異文について、その異同と位相を、作品本文の描写、特に桐壷帝に関する場面を取り上げて検討した。別本の異文には、書写者の思い入れによるものが確認できた。(於・二松学舎大学)
H-口頭発表・講演 17 源氏物語研究史の一面 ー昭和16年の河野多麻氏の周辺からー   平成 4. 9 日本文学データベース研究会 新資料の書込本『尾州家河内本源氏物語』は、河野多麻氏が昭和16年9月以降翌年にかけて、青表紙本との異同を校合記入したものである。その書込の実体と、当時の池田亀鑑氏との論争を踏まえて、源氏物語研究の一面を明らかにする。特に、これまで空白だった昭和前期の研究史の一部が確認できた。(於・光華女子大学)
H-口頭発表・講演 18 日本文学とコンピュータ   平成 4.10 大阪私立短期大学協会国語国文研修会 日本文学研究とコンピュータの活用について、データベースを中心とした現況と展望と課題を報告した。また、『更級日記』を例として藤原定家の筆跡をパソコンに読み込んで自動的に翻刻する試みも実演した。(於・大阪明浄女子短期大学)
H-口頭発表・講演 19 「俵万智」の世界   平成 4.11 大阪明浄女子短期大学 学内研究発表会 パソコンを活用した授業の実践報告と、今後の専門教育でのコンピュータの有効利用と新しい教育方法、および、研究方法を模索するさまを発表した。具体的には、俵万智を例にして、『サラダ記念日』と『かぜのてのひら』のデータベース化の手法と画像の取り扱い方について述べた。(於・大阪明浄女子短期大学)
H-口頭発表・講演 20 定家文字の自動翻刻   平成 4.12 西日本国語国文学データベース研究会(第1回) 藤原定家筆『土左日記』の影印本を用いた、パソコンによる変体仮名の自動認識・読み取りを実現した。仕組みは、古写本の文字のパターンを登録しておき、それとの一致による文字の置き換え作業を繰り返すものである。癖のある定家の文字をコンピュータが自動翻刻するということで、古典文学とコンピュータとの接点が広がることとなった。当時の16ビットマシンでの実現だったので、注目度も高かった。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 21 『探幽筆 三拾六哥仙』について   平成 5. 3 日本文学データベース研究会 新資料『探幽筆三拾六歌仙』(在パリ)発見の経緯と、その書誌的状況を、ビデオをと複製版使って報告した。海外流出の背景や、断簡に切断された状況に関する推察と、「探幽筆」とされている点および絵画史上の問題点と課題について考察した。江戸期の絵画史裏面資料として貴重である。(於・大阪大学)
H-口頭発表・講演 22 異機種間のデータコンバート   平成 5. 6 西日本国語国文学データベース研究会(第2回) パソコンといっても、機種が異なるとデータが共有できない。また、テキストも相互に読むことができないことも多い。そこで、異機種間でデータを共通化して転送する技術が必要となる。WindowsとMacintoshにおけるこうした問題に対処するために、さまざまなツールをつかって、シームレスなデータ管理を行う手法を公開した。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 23 胡蝶巻における「けしき」考   平成 5. 7 日本文学データベース研究会 「胡蝶」における各種諸写本の文字表記について、特に「けしき」に着目して、それぞれの書写者の文字遣いの特徴を字母レベルで考察した。これは、『源氏物語別本集成 第六巻』の作業からの中間報告である。(於・園田学園女子大学)
H-口頭発表・講演 24 「けしき」について   平成 5. 8 日本文学データベース研究会 「玉鬘」から「篝火」における諸写本の「けしき」という語句に着目して、各書写者の字母レベルでの用字特性を考察した。特に、国冬本は顕著な相違をみせる写本である。今後ともその異文に注目したい。(於・大阪大学)
H-口頭発表・講演 25 国語科におけるコンピュータの活用   平成 5.10 兵庫県立教育研究所 中学国語科の授業でコンピュータをどのように活用するか。『竹取物語』を例にして研究実践の報告をした。教科書の本文・現代語訳・語釈を生徒自身がデータベース化する過程の有効性とその問題点を考えた。(於・兵庫県立教育研究所)
H-口頭発表・講演 26 伝『探幽筆三拾六哥仙』の画像データベース化と原本復元   平成 5.11 情報処理学会 切断された『探幽筆三拾六哥仙』は、もとは巻子本であり、各絵の配列順も復元できた。小野小町と在原業平について、画中に書き込まれた着色の指示をもとにして、コンピュータグラフィックを活用した彩色復元も試みる。(於・岡山大学)
H-口頭発表・講演 27 PEMO(データベース)   平成 5. 12 西日本国語国文学データベース研究会(第3回) ノートパソコンが普及しだしたのを受けて、簡便なデータベースソフトウェアが要求されるようになった。メモ感覚で使えるものである。本ソフトは、フリーソフトである上に、多機能でデータの使い回しもできる、ということで人気を博したものである。その応用活用例を示して、文学研究におけるコンピュータの導入の意義を述べた。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 28 源氏物語研究とコンピュータ(パネル討論)   平成 5.12 国文学研究資料館 源氏物語研究にコンピュータがどのように活用できるか。現在編集作業が進行している『源氏物語別本集成』の制作過程を公開して、その資料操作とその処置についての大方のご理解とご意見をいただいた。『国文学とコンピュータ シンポジウム(第5回)講演集』(H6.7)所収(於・国文学研究資料館)
H-口頭発表・講演 29 Macによる画像処理   平成 6. 6 西日本国語国文学データベース研究会(第4回) コンピュータで画像を扱うためには、使う側の人間のみならず機器にも大変なパワーが必要とされる。その点、Macintoshはそうした用途に適したパソコンである。文学研究にも古写本や絵巻などの画像を対象とする研究分野は多い。そこで、大量の画像データを処理する上での事例を発表し、文学とコンピュータとの接点を広げるようにした。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 30 ヨーロッパでのパソコンライフー日本への通信と文献探索   平成7・6 西日本国語国文学データベース研究会(第6回) 伊藤がインターネット上にホームページを立ち上げたのは、この年の9月であった。本発表は、それに先立つ6月の口頭発表である。海外からの電子メールの送信方法や、携帯情報端末の有効利用を、具体的な例をあげて述べたものである。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 31 電子ブックの紹介 「人名辞典、百科事典、国語辞典」   平成7・6 西日本国語国文学データベース研究会(第6回) 書籍の形の辞典が電子媒体で利用できる時代となり、その有効な活用方法について提言したものである。パソコンのみらなず、形態機器としての電子ブックがどこまで文学研究に役立つのかも、あわせて述べた。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 32 シンポジウムー国文学研究とインターネットー   平成 7.10 国文学研究資料館 インターネットを使って源氏物語研究の情報交換を行なう〈源氏物語電子資料館〉の試みをデモンストレーションし、その後、私設ホームページを開設するにあたっての問題点を、さまざまな角度から検討した。『第1回 シンポジウム コンピュータ国文学 講演集』(H8.7)所収(於・国文学研究資料館)
H-口頭発表・講演 33 インターネットと源氏物語   平成7・12 西日本国語国文学データベース研究会(第7回) 伊藤がインターネット上に〈源氏物語電子資料館〉というウエブサイトをを立ち上げたのは、本年9月であった。国文学の世界では初めてのことであり、多方面からの反響があった。ホームページの作製と運用に関することを、文学研究という視点から述べた。(於・園田学園女子大学)
H-口頭発表・講演 34 『源氏物語』マルチメディア・データベースの現状   平成7.12 電子図書館研究会 京都大学の長尾真先生の研究会の一員として、『源氏物語』のデータベースが現在、世界的にどのような状況にあるかを調査した結果を発表した。併せて、〈源氏物語電子資料館〉の詳細も報告した。(於・京都大学)
H-口頭発表・講演 35 インターネット体験   平成8・6 西日本国語国文学データベース研究会(第8回) インターネットの普及に合わせて、ネット上で活用できる文学研究に有用なサイトを紹介し、その情報の諸相を解説した。日本でインターネットが認知されて1年が経過し、興味が幅広くもたれるようになった時であり、反応が具体的に文学研究と結びつくようになってきたことを実感した。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 36 コンピュータで読む源氏物語ー今いちばん新しい読み方ー   平成8・9 シンポジウム 「人文科学とコンピュータ」 読書の形態が多様化してきた。従来の印刷された文字を読むものに加えて、デジタルテキストをディスプレイで読む方式が提示された。絵や音と共に、物語の中の仮想空間を歩けるようにもなった。このような時代の趨勢を踏まえて、私が独自に開発している小道具をも紹介しながら、今後の読書の可能性とそのあり方を考える。(於・青森公立大学)
H-口頭発表・講演 37 源氏物語古写本における傍記異文の本行本文化についてー天理図書館蔵麦生本「若紫」の場合ー   平成9・11 大阪大学国語国文学研究室発表会 麦生本の傍記異文が本行の本文として混入し書写されている実態を通して、その本文の位相に関して次の点を確認する。・麦生本に「イ」と明示して指摘された異文は河内本の類である。・麦生本の傍記が混入するのは、該当箇所の本行本文の直前である。(於・大阪大学)
H-口頭発表・講演 38 国冬本「若紫」における独自異文の考察ーいわゆる青表紙本に内在する異本・異文についてー   平成10・2 古代中世文学研究会 天理図書館現蔵「国冬本」の「若紫」には、その後半部分に注目すべき独自異文が混入している。本稿は、いわゆる青表紙本と呼ばれている本文にも、このように異質な本文が混入していることの確認を通して、諸写本に伝えられている異文の読み直しと、流布本本文のありようを再点検する手だてを得ようとするものである。(於・大阪大学)
H-口頭発表・講演 39 「澪標」諸伝本の位相と性格ー鶴見大学蔵本を中心にしてー   平成10・7 学古代中世文学研究会 本発表で取り上げる鶴見大本「澪標」は、先年、池田利夫氏によって紹介された新出本である。この特異な本文を伝える伝本の位相を確認することは、依然として遅れている源氏物語の本文研究において、有益な資料となるはずである。(於・大阪大学)
H-口頭発表・講演 40 朱雀帝母子の位相ー源氏物語伝本分別の視点からー   平成10・11 大阪大学国語国文学研究室発表会 本発表では、系統論ではなくて〈群〉という視点から五群に分別した私案を提示する。河内本を動かぬ基準軸として、別流群と流布群という三群を基層とするものである。これは、池田氏の三系統論とは異なり、いわゆる青表紙本を本文内容の相違から〈流布群〉と〈別流群〉に分散させたものとなっている。(於・大阪大学)
H-口頭発表・講演 41 デジタル版『源氏物語』の新展開   平成11・6 西日本国語国文学データベース研究会(第14回) この年の秋に、2種類の『源氏物語』に関するデータベースがCDーROMで出版されることになった。岩波書店からは『源氏物語(絵入)〔承応版本〕CDーROM』が、角川書店からは『CD-ROM 古典大観 源氏物語』が刊行され、そのいずれにも関わった者として、両者の思想および内容の相違について述べたものである。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 42 パームコンピューティングのすすめ   平成12・7 西日本国語国文学データベース研究会(第16回) 手のひらに乗る、小さくて軽い電子版の携帯情報端末が普及しだした。メモをはじめとして、さまざまな日常の情報をいかに効率よく整理し、それをパソコンでどう活用するかを、具体的な例を提示して述べた。また、電子ブックの携帯版としての活用にも触れた。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 43 源氏物語古写本本文のデータベースー異本間の位相を見るための一手法ー   平成12・11 第1回 DB-East(東日本国語国文学データベース研究会) 古典本文の位相を異文校合という視点から考察したものである。それも、写本レベルで各種本文を比較検討し、写本の分別においては文節単位の本文異同から見る点に、この研究手法の特色がある。大量の情報処理という点で、この手法は『源氏物語』のみならず他の作品にも応用でき、さまざまな文学形態の位相解明の手助けとなるはずのものである。(於・国立国語研究所)
H-口頭発表・講演 44 インドにおける情報文具の現状   平成14・7 西日本国語国文学データベース研究会(第20回) インド・デリーに3ヵ月滞在した中で得た、パソコンをはじめとする情報文具に関する報告である。電力事情からパソコンの普及が滞っているが、それに対する熱気はすさまじいものがある。また、学生たちは自宅でインターネットに親しみつつある。日印の情報活用の違いについて述べた。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 45 外国語による日本文学研究文献のデータベース化について   平成14・12 西日本国語国文学データベース研究会(第21回) 科研費研究として取り組んでいるテーマに関する研究発表である。世界各国で発表されている、日本文学に関する研究成果をいかにして日本で整理するかについて、当面の問題点を中心にして述べた。あわせて、これまでに整理した情報のデータベース化についての報告もおこなった。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 46 『群書類従』のデータベース化について 平成15・10 総合研究大学院大学共同研究プロジェクト研究会 本研究は、日本が世界に誇る文化遺産していの『群書類従』をデジタル化し、ネットワークで公開することを目的とするものである。「文化科学研究分野における情報資源共有化のためのコラボレーション研究」に参加する一員の研究課題の報告としておこなったものである。目的・計画・内容について発表した。(於・国際日本文化研究センター)
H-口頭発表・講演 47 NPO源氏物語の会について   平成15・12 西日本国語国文学データベース研究会(第22回) 平成15年1月に認可を受けることになった〈NPO源氏物語の会〉についての報告である。特定非営利活動法人としての設立趣旨や活動内容を通して、全国の文学研究を目指す大学院生との共同作業について述べた。また、海外との交渉窓口としての役割にも触れた。(於・大阪樟蔭女子大学)
H-口頭発表・講演 48 『群書類従』のデータベース化について 平成16・1 総合研究大学院大学共同研究プロジェクト研究会 『群書類従』をデジタル化するにあたっての問題点を整理し、その対処方法について発表した。文学研究におけるデータベースのありようについて、その求められる姿を中心にしている。「文化科学研究分野における情報資源共有化のためのコラボレーション研究」における研究課題の報告としておこなったものである。(於・総合研究大学院大学・湘南国際村)。
H-口頭発表・講演 49 (基調講演)海外における日本文学研究に関する情報の共有化 平成16・10 第1回 インド・日本 国際日本文学研究集会 「インドにおける日本文学研究 2004ー現状と未来ー」と題する集会の初日に、次の4つのプロジェクトについて報告し、今後の情報の共有化について考えた。
「1、『おさな源氏』の多言語翻訳プロジェクト」「2、外国語による日本文学研究文献をデータベース化するプロジェクト」「3、「欧州所在日本古書総合目録データベース」に関するプロジェクト」「4、文学資源共有化プロジェクト」(於・Sahitya Akademy、ニューデリー)
H-口頭発表・講演 50 (基調講演)「世界各国における日本文学研究の現状」   平成16・10 第1回 インド・日本 国際日本文学研究集会 「インドにおける日本文学研究 2004ー現状と未来ー」の2日目の講演である。イギリス・フランス・ポーランド・中国・台湾・韓国・アメリカ・カナダ、そしてインドの各国における、日本文学研究の現状について報告し考えた。これは、この4年間に私が訪問した国々であり、今回は日本国外の大学および研究者との情報交換を通して知り得たことを中心にして述べたものである。(於・India International Centre、ニューデリー)
H-口頭発表・講演 51 日本文学研究の情報・資料をウエブで共有する 平成17・5 韓国日語日文学会主催 国際学術シンポジウム・春季国際学術大会 「情報化時代における海外での日本研究」をメインテーマとする国際会議での発表。(1)日本文学に関する研究と教育の情報交換や情報共有をウェブを活用して促進する、(2)日本文学に関する国際研究集会を当面は日本語を主体として定期的に実施する、(3)オンラインとオフラインの適度な使い分けが得られる情報量に影響する、という3点をポイントとしたものである。海外調査とデータベース化に関する具体例を多くあげることに留意した。
I-座談会・シンポジウム            
I-座談会・シンポジウム 1 「シンポジウムー国文学研究とインターネットー」   平成8・7 国文学研究資料館 国文学研究資料館主催の第1回シンポジウム・コンピュータ国文学における「シンポジウム |国文学研究とインターネット|」の講演・討議を活字にして公刊報告したものである。伊藤は本シンポジウムの基調報告「源氏物語とインターネット」および司会者として、討議をまとめる役にあたった。
I-座談会・シンポジウム 2 「パネル討論 源氏物語研究の新展開」   平成12・8 国文学研究資料館 国文学研究資料館主催の第5回シンポジウム・コンピュータ国文学における「21世紀の源氏物語研究」の講演・討議を活字にして公刊報告したものである。伊藤は本シンポジウムの企画者および総合司会者として、本会議をまとめる役にあたった。本会議では、広島大学との同時中継によるディスカッションを実現した。
I-座談会・シンポジウム 3 「パネルディスカッション 二十一世紀の文学研究とコンピュータ」   平成13・12 国文学研究資料館 国文学研究資料館主催の第6回シンポジウム・コンピュータ国文学における「パネルディスカッション 二十一世紀の文学研究とコンピュータ |日本古典文学本文データベースの評価を通して|」の講演・討議を活字にして公刊報告したものである。伊藤は本シンポジウムの企画者および司会者として、討議をまとめる役にあたった。
I-座談会・シンポジウム 4 「シンポジウム 出版とアカデミズム」   平成15・11 国文学研究資料館 国文学研究資料館主催の第8回シンポジウム・コンピュータ国文学における「シンポジウム 出版とアカデミズム」の討議を活字にして公刊報告したものである。伊藤は本シンポジウムの企画者およびパネラーとして、討議を進行する役にあたった。
J-科研費研究            
J-科研費研究 1 源氏物語古写本の画像データベース化と別本諸本の位相に関する研究   平成4〜5 課題番号04610266-05610367 文部省の科学研究費補助金〈一般研究C〉対象の研究として、源氏物語古写本の影印文字のデータベース化を行なった。また、古筆資料の文字のパターンの分類を通して、藤原定家の文字の自動翻刻に成功した。データベースを検索表示するプログラム〈プロムナード〉を開発し、当初の研究目的を達成した。
J-科研費研究 2 藤原定家自筆の仮名文字に関するテキストデータベースと画像データベースの作成研究   平成7〜8 課題番号07801057-08871047 文部省の科学研究費補助金〈一般研究C〉対象の研究として、高千穂商科大学の渋谷栄一氏の研究協力をおこなったものである。『土左日記』や『更級日記』などに書写された藤原定家筆の文字すべてを1文字ずつ切り出し、字母データベースを作成したものである。研究成果は、渋谷氏のホームページに公開されている。
J-科研費研究 3 源氏物語古写本における異本間の位相に関する研究   平成9〜10 課題番号09204240-10111236 一般に流布する〈青表紙本〉とは一体何なのか、ということを追求する。〈大島・陽明・保坂・尾州〉の各写本レベルでの本文対校データ(陽明本で換算して約214,000文節)を用いて、異同に対する1件毎の重み付け作業を行った後、これらの位相を明らかにしたい。
J-科研費研究 4 外国語による日本文学研究文献のデータベース化に関する予備調査   平成13〜14 課題番号13871051 海外における日本文学研究の実態が不明である。本課題で収集する情報群は、世界各国のさまざまな分野における日本文学の本質理解への一助となり、国内の研究にも多面的な刺激を与えるものとなるはずである。海外の研究者および日本への留学生を意識したデータベース化を心がけている。当該年度は、予備調査の段階までである。
J-科研費研究 5 外国語による日本文学研究文献のデータベース化に関する調査研究   平成15〜17 課題番号15320034 外国語で発表された日本文学関連の研究成果を収集整理してデータベース化するものである。本課題で収集する情報群は、これまでの予備調査を展開したものとして、さらに多国語理解の情報を蓄積する。海外の研究者および日本への留学生を意識したデータベース化を心がけている。本データベースは、国文学研究資料館が公開している国文学論文目録データベースの海外版となる。
K-ソフト・DB開発            
K-ソフト・DB開発 1 資料検索表示ソフトウェア〈プロムナード〉 共著 昭和63 (伊藤鉄也・浅茅原竹毘古)同朋舎 テキストデータや画像データを検索表示するために、ルナ企画の浅茅原竹毘古氏と共同開発したものである。縦書き表示ができる点を特色とする。また、異本・異文の対校形式での表示ができるなど、研究者用としての仕様を備えている。DOS用とMac用がある。拙著『日記文学資料集 和泉式部日記・蜻蛉日記』にバンドルしている。
K-ソフト・DB開発 2 年表データベース〈内記〉 共著 平成4 (伊藤鉄也・中村一夫) 文学史資料の整理・確認や歴史研究のための、情報検索表示用のソフトウェアとして作成した。あらかじめ作成しておいたデータを、年表形式で検索表示する。ヒットしたデータのなかの人名や事項を元にして、さらに別のデータベースとリンクするような仕様に改訂中である。日本古典文学総合事典データベースの部品の一つとなる。現在のところは、Mac版のみである。
K-ソフト・DB開発 3 系図データベース〈民部〉 共著 平成4 (伊藤鉄也・中村一夫) 歴史上の人物のみならず、文学作品における登場人物の人間関係を即座に表示するためのソフトウェアとして開発した。既に、『源氏物語』版のデータは完成している。自由にデータの追記が可能であり、各自が育てていくソフトウェアとなっている。日本古典文学総合事典データベースの部品の一つとなる。現在のところは、Mac版のみである。
K-ソフト・DB開発 4 CDーROM 古典大観 検索システム 共著 平成11・11 (日本文学データベース研究会)角川書店 本CDーROMは、『源氏物語』に関する校訂本文・四種類の翻刻本文・大島本のカラー影印画像の表示・文法情報・語句の読み・感情色彩語彙・登場人物と地名地図の情報・『新編国歌大観』と引歌・事項索引などの各種情報が、自在に検索できるものである。新しい『源氏物語』の総合事典である。その検索システムの開発に、日本文学データベース研究会(略称はNDK)の世話人として関わり、多様な用途に適した検索システムの構築を達成した。
K-ソフト・DB開発 5 源氏物語古注釈データベース 共著 平成13・5〜 国文学研究資料館HP 国文学研究資料館の特別共同利用研究員との研究成果として公開報告するものである。『源氏物語』のすべての古注釈書を電子テキストにし、諸注の横断検索を目指している。古注釈のデータベース化は、書籍を用いた際に必要であった読解以前の作業を大幅に軽減するだけでなく、古注釈史や古注釈書において指摘された典拠や准拠、『源氏物語』の受容史の各研究にも役立つと思われる。現在、『源氏物語湖月鈔』を中心として、順次公開している。
K-ソフト・DB開発 6 欧州所在日本古書総合目録データベース 共著 平成13・11〜 国文学研究資料館HP 本目録は、欧州各国の大学図書館・市立図書館・美術館・博物館等に所蔵されている「日本の和装本」のすべてを掲載するものである。ここでの「日本の和装本」とは、〈写本・版本〉および〈国書・和刻本漢籍・和刻本韓籍〉を問わないこととする。基礎データは、ケンブリッジ大学のピーター・コーニツキ教授が収集したカードであり、それを伊藤鉄也が整理・入力・整形・WEB公開している。まだ予定の点数の4分の1に過ぎないが、世界各国からのアクセスがある。
K-ソフト・DB開発 7 異文校合ツール〈kogetsu(湖月)〉 共著 平成15・1 (伊藤鉄也・大内英範) 各種異本の本文を校合し、その違いを一覧するのに用いるものである。異文の様態を容易に知りうるものとして、本文研究においては非常に重宝するツールである。jgawk版・perl版・java版があり、MacintoshでもWindowsでも使用できる。本ソフトは、『源氏物語別本集成』の校異編作製で用いた処理過程を簡便に実行できるものとなっている。
K-ソフト・DB開発 8 諸本総当りツール〈kakai(河海)〉 共著 平成15・1 (伊藤鉄也・大内英範) 各種異本間の距離を測るのに用いるものである。これは、伊藤が科研研究として取り組んできた古写本の位相を二次元グラフで視覚化したのに対して、諸本の一致率にもとづいて棒グラフとして表示するものとなっている。複眼的な位相が読み取れるようになる。現在は、jgawk版のみであり、MacintoshでもWindowsでも使用できる。
K-ソフト・DB開発 9 群書類従データベース 共著 平成16・3〜 バージニア大学図書館HP バージニア大学とピッツバーグ大学およびコロンビア大学が公開している「日本語テキストイニシアティブ」の中に収録される作品群の中の1つである。『群書類従』には、歴史、文化、文学と多彩な分野の資料が収録されている。まず、国文学研究に有用な書物(物語と日記)の全文と、データ中の「人名」「地名」「書名」「和歌」「年号」「その他固有名詞」に、一定のマークアップを施したものを提供する。さらに、『群書類従』の版本の影印画像も公開する。当面は、『群書類従』の正編23作品を対象とする。

 


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