光源氏の庇護をなくした末摘花は困窮を極める。それでも姫君は親王家
の格式と誇りを守り抜こうとする。常陸の宮邸は荒れ果て、葎が門を閉
ざす。土塀は崩れ、庭では牧童が馬や牛を放し飼いにする有様である。
『源氏物語別本集成 第4巻』の[150422]以下の場面に該当する。
明石で姫君が生まれた頃のこと。光源氏はたまたま通りかかった末摘
花の邸に入る。いつかはきっととの末摘花の願いが叶い、煤けた几帳
越しの対面となるのであった。荒廃した邸に月光が華やかに差し込む。
『源氏物語別本集成 第4巻』の[152317]以下の場面に該当する。